3Dプリンター用語集

3Dプリンターの導入をお考えの方、また導入しているけどいまいちわかっていないといった方のために、3Dプリンターや3Dプリント技術に関連する用語を分かりやすく解説いたします。

機器

エクストルーダー
3Dプリント用の樹脂材料(フィラメント)を熱で溶かして、プリントヘッドへ送り込む機構です。
オフセット
基準点(0.0.0)からの座標位置です。適正な値で指定することで安定した造形を行うことができます。
ガス
金属3Dプリンターでは不活性ガスを使用します。窒素ガスとアルゴンガスの2種類があります。また、樹脂材料の造形中は、プラスチックなどの材料が加熱され融解する際、空気中に一定量の粒子やガスが放出されることがあるため、造形中は3Dプリンターに近づきすぎない・換気する・安全性が示された材料を使用するなど、安全に使用することが大切です。
シールドガス
金属3Dプリンターでは不活性ガスを使用します。窒素ガスとアルゴンガスの2種類があります。また、樹脂材料の造形中は、プラスチックなどの材料が加熱され融解する際、空気中に一定量の粒子やガスが放出されることがあるため、造形中は3Dプリンターに近づきすぎない・換気する・安全性が示された材料を使用するなど、安全に使用することが大切です。
キャリブレーション
プラットフォームの水平を調整し、またノズルの感覚を一定にすることです。フィラメントをプラットフォームにうまく定着させ、積層の傾きをなくすことで造形の失敗を防止するために重要な作業です。
タイミングベルト
3Dプリンターの造形ノズルにステップモーターからの力を伝えるものです。ベルトの歯は稼働のたびに摩耗するため、一定期間での交換が必要な消耗品です。耐摩耗性をもったスチールコアを備えたベルトが採用されている3Dプリンターもあります。
ノズル
ホットエンドの1部で樹脂材料(フィラメント)が出てくる部分です。ノズルを使い分けることによって造形品質や速度を切り替えることができます。使用ごとに摩耗する消耗部品となります。
ヒートベッド
3Dプリンターで造形中に台座を高温にたもつ板で、造形中の反りを防止してくれます。
ビルドプレート
フィラメントが積層され、造形物が出来上がっていく板状の台です。
ファイヤーチャンパーシステム
WASPが特許取得おり、最高150℃までの移動加熱式チャンバーで、必要な部分のみに熱を導入することで全ての熱を利用可能にしています。これにより、扱いにくい材料でも完璧なインフラ層の接着と優れた表面品質が保証され、エネルギー消費を抑制します。
ブラシレスモーター
プリントヘッド
ペレットタンク
リトラクション
造形中に離れた場所にノズルを移動させるため、材料を少し引き戻すことです。
積層ピッチ
造形時の一層あたりの厚みです。数値が小さいほどより微細な造形が可能になります。ただし細かく積層するほど造形にかかる時間は長くなります。
造形エリア
3Dプリンターで造形ができるエリアのことです。縦・横・高さ(x.y.h)をmm単位で表現します。
造形サイズ
3Dプリンターで造形できる造形物の大きさです。縦・横・高さ(x.y.h)をmm単位で表現します。最大造形サイズは機種によって異なります。
HEPAフィルター
空気中の0.3μm以上の粒子を99.97%以上捕集することができる高性能なエアフィルターです。
3Dスキャナー
対象物をさまざまな方法でスキャンし、取得した立体的な形状を3Dデータに変換する機器です。

材料

熱可塑性樹脂
汎用プラスチック、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなど、熱を加えることで軟化する樹脂です。
光硬化性樹脂
紫外線など、特定の波長の光によって硬化する樹脂です。
ポリカーボネート
エンプラのひとつで、透明性・耐衝撃性・耐熱性・難燃性・寸法安定性などにおいて高い物性を示す熱可塑性プラスチックです。航空機・自動車など輸送機器、電気・電子光学・医療機器、防弾ガラスなどの材料に広く使用されています。
マテリアル
3Dプリンターで造形をおこなう材料のことです。現在、3Dプリンターに用いられる代表的な材料は、プラスチック、金属、コンクリート、セラミックス、木材、食品、細胞があります。
ABS
PLAとならび、もっとも一般的な3Dプリント材料として知られています。安価ながら、耐久性、耐熱性といった機械的特性に優れているため、幅広い用途に対応できる凡庸性の高い材料です。
IPA
光造形の後、余分な材料を洗いながす洗浄の工程で使用します。有毒で、蒸気を吸ったり、素手で触れることで体内に侵入してしまいます。さらに引火の危険性もあるため保管の際には適切な管理が必要です。
PLA
植物由来のPLA樹脂をベースとして開発された3Dプリンター用材料です。ポリ乳酸ともよばれ、主にトウモロコシやジャガイモといった天然素材から抽出して作られたバイオマスプラスチックのひとつです。
熱収縮性がそこまで高くないため反りなどの不具合も起きにくく、大きいモデルも安定して造形することができたり、造形が容易、歪みやノズル詰まりが起きにくい、融点が比較的低く造形時の臭いの刺激が少ない、といった特徴から、家庭やオフィスなどで誰でも手軽に扱うことができる、もっとも一般的な材料として知られています。

技術

後加工
3Dプリントした造形物に対し、より完成度をあげるために加工を施す作業です。サポート材の除去から、表面の積層跡を無くして滑らかにしたり、液体レジンの洗浄といった基本的な作業や、二次硬化して強度と耐久性を高めたり、塗装を施したり、コーディング材の塗布なども行います。
クラッディング
日本語では「肉盛り加工」「皮膜加工」という意味になります。粉末やワイヤーをレーザー光の熱で瞬時に融解し、母材表面に堆積させることで、同種または異種の金属を溶接します。異種材を肉盛りすることで母材の特性を向上させたり、擦り減った部分の補修になどに利用される技術です。
研磨加工
造形物の表面を、磨いて滑らかにする処理です。後加工で行われます。3Dプリンターは材料を積層して造形する特徴から、表面に積層の段差ができてしまいますが、研磨することでその段差が目立たない滑らかな表面に仕上げることができます。
切削加工
工具を用いて樹脂や金属などの材料を削ったり穴を開けたりして形状を作る加工方法です。非常に高い精度で加工ができ、1個からの制作が可能です。しかし、工具が届かない部分は加工ができないため作れない形状があることや、削り出す形状によっては無駄になってしまう材料が多くなってしまったりなどのデメリットがあります。
鋳造製法
型に溶けた金属を流し込み、それを冷やし固めて目的の形状にする金属加工方法です。大量生産に向いています。
トポロジー最適化
DfAMの要素で、設計したい空間にどのように材料を配置すれば最適な構造となるのかを提案する解析手法です。設計する空間に荷重や拘束条件、最大化したい強度や質量などの指標を設定して最適な構造を持った形状を導き出します。これまでの形状にとらわれない全く新しい形状が導き出されることもあり、大幅な軽量化を実現します。
ブレイクアウト
造形後、周りの粉の中やサポート材などから造形物を取り出す作業です。
ブローピール技術
LC Magnaに採用されているPhotocentric社の特許技術です。光造形方式3Dプリンターの問題は、造形物がベッドだけでなく、材料を入れているバットにもくっついてしまい、造形が失敗してしまうことです。次の硬化サイクルに備えて、新しい樹脂を入れるためには、造形物を持ち上げてバットの底面から離す必要があります。この技術では、バットフィルムの真下にあるスクリーンプレートの隅に4つの穴が開いており、スクリーンプレートの真下には空気を発生させることができるエアポンプがあります。
造形物が持ち上がる直前、エアポンプがスクリーンプレートの下から空気を送りこみます。スクリーンプレートならびにバットフィルムが浮き上がることで、造形物をよりきれいに引き離すことができます。
ラピッドツーリング
ラピッドプロトタイピングと同様に、射出成形鋳造に用いる型や治具などを短期間でつくることをラピッドツーリングと呼ぶ。鋳型の製造コストを抑えられるのはもちろん、必要な時に必要なものをすぐに出力できるため、治具などをストックしておかなくて良いというメリットもある。
ラピッドプロトタイピング
製品開発の際に、形状などの確認をする試作を短期間でおこなう手法です。従来より小型で低価格の3Dプリンターで試作品をつくることで、大幅な時間とコストの削減が実現しています。
ラピッドマニュファクチャリング
短期間で製品をつくる手法のことです。言葉の元となったラピッドプロトタイピングは試作品をつくりますが、ラピッドマニュファクチャリングは試作品だけでなく最終製品をそのまま製造する手法となります。受注生産品などの少量の製品をつくる際、専用の型などを必要としない3Dプリンターを用いることで、時間やコストを大幅に減らすことができます。
ロストワックス
ロウを用いた鋳造方法のひとつです。ロウでつくった原型を砂や石膏など台材に仕込んで、ロウを溶かして焼き固めて鋳型をつくります。それに金属を流し込み、製品を製造します。
AM(アディティブマニュファクチャリング)
3Dデータを参照して、材料を積層または付加することで立体を造形する手法です。JIS規格B9441では「3Dモデルデータを基に、材料を結合して造形物を実体化する加工法。多くの場合造形層を積み重ねる形態をとる。除去加工および成形加工と対照的な方法」と定義されています。複雑な構造を表現しやすく、また少量生産が安価ですばやく行うことができます。
DDM(ダイレクトデジタルマニュファクチャリング)
3Dプリンターをこれまでのような試作目的ではなく、治具や最終製品を生産す目的に用いるという概念です。近年、3Dプリンターの開発が進んだことで、金属や高い強度の樹脂の造形ができるようになったことから、加工の自由度や低コストといった特徴が注目され、ものづくりの代表的な手法のひとつとなっています。
DfAM(ディーファム)
3Dプリンターを活用した製造のメリットを最大限に活用するための設計手法や設計ガイドラインです。3Dプリンターのメリットには、切削加工が難しい複雑な形状が造形できる、金型が不要である、これまでは複数部品を組み合わせる必要があったものも一体化して造形できる、などがあります。これまでの加工方法で考えていた構造の設計を、3Dプリンターを前提として考えた新しい構造で設計(DfAM)することで、軽量化やコストダウンを実現します。

ソフトウェア

シェル
3Dデータのパーツの単位を表す単位で、ひとつの3次元パーツを1シェルと呼びます。
スライサーソフト
3DCADなどで作ったSTLファイルなどを、3Dプリンターで造形できるデータに変換するソフトウェアです。造形に必要な積層ピッチや速度などはスライサーで設定します。3Dプリンターに付随する専用ソフトウェアがある場合と、奨励される汎用ソフトウェアを使用する場合があります。
CAE
3Dモデルを用いて、コンピュータ上で指定した負荷などがかかった際のシミュレーションを行い数値解析をすることです。CAE解析ソフトで、3Dモデルから「強度」「変形」「流体」「熱交換」「弾性」などの数値化します。その解析結果を用いて、デザインや材料を検討し、必要な要件を満たした製品を設計します。
3DCAD
3次元の設計図で、正確なデータを記入してモデリングを行います。データにはサイズ、体積、表面積、重心などを含むことができるため、精密な製品のモデリングが可能です。3DCADで設計したデータを、スライサーソフトを通じて造形データに変換すると、そのデータに基づいて造形されます。
.STL
3Dプリントでよく使用され、3Dモデルやオブジェクトのサーフェスジオメトリを記述する、三角形の連結で構成されたファイル形式です。STL画像には色とテクスチャがありません。

造形物

オーバーハング
3Dデータのパーツの単位を表す単位で、ひとつの3次元パーツを1シェルと呼びます。
サポート材
3Dプリンターで造形をする過程で造形物が崩れないように支える材料をサポート材と呼びます。立体物のうち、底面から離れて空中に浮いている部分はそのまま造形すると自重で崩れてしまう可能性があるため、土台や足場となるサポート材で支えます。サポート材は造形後に除去します。
治具
製造や加工の際に、加工されるものを固定したり、位置決めしたりする、作業者の補助的役割をもった装置です。このほか、組み立て手順のガイド、破損から守ったりする目的で、様々な治具が活用されています。治具を活用することで品質の安定、人的ミスの軽減、再現性の向上などのメリットがあります。
充填率(インフィル)
熱溶解積層方式で造形された造形物の「内部の密度」です。強度、造形速度、重量、フィラメント使用量、造形の難易度に影響し、適切なパーセンテージで造形することでコスト削減に繋がります。
靭性(じん性)
樹脂の靭性とは、材料の「粘り強さ」を意味します。粘り強い樹脂は、外部からの衝撃に強く、割れにくい性質があります。対語に「脆性」があります。
中空構造
内部に空洞がある構造です。中空構造には、軽量化やコストカットといったメリットが期待できます。従来、中空構造の造形物を造るには接合などの後加工が必要でしたが、3Dプリンターはそれだけで中空構造の造形を行うことができます。
熱変形温度
プラスチック材料の耐熱性を示す基本的評価項目の1つです。プラスチック材料は温度が上昇するにつれて硬さが低下します。その低下量が一定以上になる温度を熱変形温度といいます。荷重たわみ温度ともいわれます。
引張強度
引張り試験で試験片が破断されるまでの最大荷重を原断面積を除いた値で定義されます。機械・設備等の工業製品を設計する上で大切にしなければならない機械的性質の1つです。
曲げ強度
曲げ試験で試験片が破壊されるまでの最大荷重を基に算出した、曲げ応力の値です。材料定数の1つで、曲げ強度を求める曲げ試験の方法は規格で標準化されています。