Caracol社のロボットアーム式大型樹脂3Dプリンター「Heron AM」のメリットとは | 事例も紹介

Caracol-Heron-AM

 3DPCは、2024年1月にCaracol(カラコル)社と日本総代理店契約を締結し、大型積層造形(以下「LFAM」)を可能にしたロボットアーム式大型樹脂3Dプリンター「Heron AM」の取り扱いおよび販売を開始いたしました。

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 LFAMは「Large Format Additive Manufacturing」の略で、従来の積層造形技術と比較してハードウェア・ソフトウェア・自動化が統合された、大型サイズを造形できる新しい技術のことをいいます。この技術は、建築や建設、自動車、航空宇宙、海洋、鉄道などの厳しい要件が求められる業界で注目を集めています。LFAMは、すべてのものづくりにおける、デザインの柔軟性と作業の効率性を向上させる技術になると期待されています。

 

この記事では、LFAM技術が搭載された「Heron AM」の紹介および同機器を使用した事例とそのメリットをご案内いたします。

 

1. Caracol社「Heron AM」の紹介

GMG_Heron-AM

 「Heron AM」は、最大4mサイズの製品の造形を可能にし、さらにシステムを延長すれば最大で幅12mまで造形が可能です。造形ヘッド、ペレットの乾燥装置、ソフトウェアなど造形を開始するために必要なすべてが揃っています。また、幅広い高性能ポリマーから複合材料、リサイクル材料まで対応しており、ペレットから直接造形できるため材料費を大幅に削減できます。ペレット材によって生じる表面のざらつきも、付属のツールで削ることで滑らかな表面に仕上がります。

 

2. 「Heron AM」の対応材料

 「Heron AM」は、幅広い高性能ポリマーから複合材料、廃棄物をリサイクルした材料まで、多くの材料に対応しています。以下の材料は、Heron AMで使用できるよう徹底的にテストされているため、最適な材料となっています。


1)PP、PP + 35% Glass Fiber、PP + 30% リサイクル済みのGlass Fiber

2)ASA、ASA + 20% Glass Fiber、ASA natural

3)PET-G、PET-G + 20%リサイクル済みのGlass Fiber

4)PC、PC + 20% Carbon Fiber

5)ABS、ABS + 30% Glass Fiber、ABS + 20% Carbon Fiber

6)PLA

7)TPE

8)PEI、PEI + 20% Carbon Fiber


・「Heron AM」製品詳細

・お問い合わせ

・メール経由:info@3dpc.co.jp

 

3. 「Heron AM」の活用事例とそのメリット

FRONT GRILL(フロントグリル)

Caracol-GMG

 Caracol社とTitans of CNC社は、「Heron AM」と同社のカーボンファイバーで強化したABS材料を用いて、Gas Monkey Garageによる1968 Chevrolet C10のフロントグリルのモックアップを製造しました。それにより、最終部品となるアルミ製のオーダーメイド部品を共同で製造できるようになりました。

 

 オーダーメイドで自動車部品を製造する場合、モックアップが大きな役割を果たします。

・部品が正確にフィットするかの検証

・エラー、欠陥、やり直しのリスクを軽減し、コストと時間の節約

・設計の自由度を高めより複雑でユニークな形状を可能にする

 

このようにモックアップは必要不可欠ですが、従来の方法で製造すると、コストと時間がかかるだけでなく材料の無駄が多くなる傾向がありました。

 
 

「Heron AM」を使用すると、モックアップのような大きな部品を一体化した一つの部品として製造することができます。またペレットから直接造形できるため、材料費の節約とコストの削減を実現。さらに、従来の方法では製造が困難だった複雑な形状も造形できるため、設計における制限がなくなりました。

 

これらにより、従来の方法と比較してより短いリードタイムで、より優れた品質、フィット感、コスト削減を達成しました。


【部品詳細】
・材料:ABS(カーボンファイバー入り)
・サイズ:1900 x 300 x 500 mm
・製造時間:10時間

【従来の製造方法と比較し、Heron AMを活用した結果】
・リードタイム:70%短縮
・ランニングコスト:60%削減


② TRIM & DRILL JIGS(治具)

TOOLING_Drim

 トリミングツールとドリルは、航空機の機体の製造やメンテナンスの工程に欠かせません。アルミニウム、複合材、チタンなど、さまざまな材料を切断・成形し、最終的な航空機の機体を構成するさまざまな部品を作成・修正するために使用されます。これらの工具は、使用する材料の種類や具体的な作業内容に応じて慎重に選択する必要があります。適切な工具と技術により、航空機メーカーは、航空業界の厳しい安全基準を満たす、精密で信頼性の高い機体を作成しています。

 

この治具はCaracol社のABS 20GFを使用して製造され、製造作業中にかかるあらゆる機械的圧力に対する耐性を保証しながらも、高い費用対効果を維持しており、軽量部品の交換を行う際に使用されています。

 

【部品詳細】

・材料:ABS(ガラスファイバー入り)

・サイズ:1650 x 400 x 1000 mm

・重量:100 kg

【従来の製造方法と比較し、Heron AMを活用した結果】

・重量:最大で80%軽量化され、輸送や保管が容易に

・廃棄物:最大で60%削減

・リードタイム:12週間から6週間に短縮(50%の節約)

・ランニングコスト:50%削減


③ AUTOCLAVE CURE TOOLS(オートクレーブ用の治具)

TOOLING_Prepeg-Cure-Tool

 スーパーカーのカーター用カーボンファイバーカバーを製造するための治具を製造しました。Caracol社とAirtech社が共同開発した材料を使用。材料には同社のダールトラムC250-CF素材(20%のCFで強化されたPC)を使用しており、最高180℃、6barまで耐えられるため、中温中圧での使用に最適です。

最大の特徴は、最終完成品とラミネート用の金型を直接製造することで、工程のステップを削減し、総重量を減らして物流と部品の保管を簡素化したことであります。造形後、金型はCNCで後加工され、ラミネート等を行うために必要な表面品質で寸法の誤差を最小にするために、金型上に最終部品をトリミングするための溝が設けられています。

 

【部品詳細】

・材料:PC、CF

・サイズ:500 x 500 x 200 mm

・重量:21 kg 

【従来の製造方法と比較し、Heron AMを活用した結果】

・重量:最大で60%軽量化

・廃棄物:最大で70%削減

・リードタイム:8週間から2週間に短縮(80%の節約)

・ランニングコスト:50%削減

 

4. まとめ

 従来の製造方法と比較し、「Heron AM」で製造することでリードタイムやランニングコストの削減など様々なメリットを提供することがわかりました。

 3DPCでは、今回紹介したLFAM技術を採用した「Heron AM」の機器販売に加え、同機器を活用した受託製造を行っています。是非お気軽にお問い合わせください。

・「Heron AM」製品詳細

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・メール経由:info@3dpc.co.jp

 

5.【3DPCのサービス紹介】

■ 設計・開発から製造、後加工、品質評価まで一貫したサービスを提供

3DPCでは、金属・樹脂合わせて10種類以上の3Dプリンターを取り扱っており、知見や経験が豊富な社員のもと、設計・開発から、製造、後加工、品質評価まで一貫したサービスを提供しています。また機器のご紹介も行っており、ご購入後は、1日から2日間のトレーニング、修理、メンテナンスのサポートを実施しております。

・受託製造の詳細

・機器導入後のサービス詳細

■ 工場見学開催中!デモ機による実演も行ってます

最先端技術を搭載した海外製3Dプリンターやフィラメント製造機、表面処理装置、造形品などを見て触ることができる工場見学を開催しております。

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