スライサーソフトウェア『Simplify3D』の日本語版操作マニュアルのページです。開発元のSimplify3D社と連携の上、DDDJapan.comが翻訳・編集して掲載しております。
より詳細なサポートが必要な場合は、『Simplify3D テクニカルサポート』をご活用ください。
マニュアル概要
1.スライサーとは
2.立ち上げ方法
3.オペレーション手順
4.プリンターのコントロール
5.メイン画面のメニュー一覧
6.プロセス設定の詳細
7.応用編
8.最後に
1.スライサーとは
3Dデータと3Dプリンターの間に入り、造形したいデータを設定に沿って計算し、一層ずつ座標に置き換えるソフトウェアの事です。単純な座標の連続になることで初めて3Dプリンターが3Dデータを読み込むことができます。
スライサーの由来はスライスする(輪切りにする)という動詞から来ており、座標に変換されたデータファイルをgcode(ジーコード)と呼びます。
gcodeは、もともと産業用工作機械(CNCマシン等)に使われているデータフォーマットで、これに3Dプリンター用コマンドを追加した形でファイルが作成されます。
スライサーソフトは、一部、Cure等の無料のものもいくつかあります。
本マニュアルで説明するSimplify3Dは、有料ソフトですが、機能が多くまた利用できる3Dプリンターも多く、最も定評のあるスライサーソフトの一つです。
なお、本ソフトはWindwos10の他、mac、Linuxでも動作しますが、本マニュアルでは、Windwos10での操作を説明します。
2.立ち上げ方法
まだ、ユーザ登録が終わっていない場合は、下記ビデオを参照して登録をお願いします。
登録先は、以下となります。
https://cloud.simplify3d.com/account/settings
ソフトインストール後、アプリケーションを立ち上げると最初に下記のような画面が表示されます。(最初の1回だけです。)
ここで、購入時にメーカサイトで登録したID、Passwordを入力します。

次に下記のようにプリンターの選択画面が現れますので、ご利用予定のプリンターを選んでNextを選びます。するとFinishボタンが出るのでこれを押します。なお、本作業は後でも出来ますので、その場合はCancelボタンを押して次に進んでください。



すると下記のメイン画面が表示されます。
次回立ち上げ時からは、この画面が最初に立ち上がります。

立ち上げ時は、英語表記なので、日本語表記に変えるにはMenuBarからChangeLanguageを選ぶと言語選択画面が出力されるので、ここで日本語を選びます。


上記のようにメニューが日本語になります。
3.オペレーション手順
まず、3Dソフトで作成したstlファイルから3Dプリント用のGコードを作成するまでの一連の流れを簡単に説明します。
3-1. 3Dプリンター別の設定
Simplify3Dは、実際に利用する3Dプリンター用の設定ファイルであるFFFファイルをインポートすることによってご利用の3Dプリンターに最適なGコードを作成することができます。 ご利用の3Dプリンターに適したGコードを作成することができます。ただし、フィラメントやプリントするモデルによっては、設定を変更する必要がありますが、これらは6.で説明します。
これらFFFファイルは、2.立ち上げの際にプリンターをすでに選んだ場合は、すでにインポートされています。(同様のことがヘルプメニューの「構成アシスタント」を選んでも実行できます。)
ここでは、まだFFFファイルをインストールしていない場合(最新ファイルをメーカサイト等でダウンロードした場合)で説明します。
下記のメイン画面、左上のファイル・メニューから「FFFプロファイルをインポート」を選びます。するとファイル選択画面が出力されるので、必要なFFFファイル(xxx.fff)を選びます。
FFFファイルは、それぞれのプリンターメーカのサイトからダウンロードできます。(例として、Felixプリンターは、こちらに最新FFFファイルがあります。)
次に下記のFFFファイルの設定一覧に出てくるFFFファイル名が出てくるのでメモを取っておいてください。次にOKボタンを押すとインポートが完了します。


次に下記のように左下の「プロセス設定を編集」ボタンを押すと編集画面がポップアップ表示されますので、ここの「プロファイルを選択」欄をクリックするとそのSimplify3DにすでにインポートされているFFFファイルが一覧表示されます。
ここで、先ほど、インポートした(メモをした)ものを選択します。(基本、一番下にあると思います。)
ここで、OKボタンを押すと設定が完了します。

3-2. 3Dファイルのインポート
これより、実際にプリントするモデルのGコードを作成する手順となります。
3-1で使ったファイル・メニューから「モデルをインポート」を選びます。すると下記、ファイル選択画面が表示されます。ここで3Dプリントしたいモデルを選択し、開くをクリックすると以下の画面のようにモデルが表示されます。灰色のテーブルの上にモデルが設置されると思います。このテーブルの枠内が実際にプリントできる範囲となります。(FFFファイルによってそのプリンターのプリント範囲に変更されています。)
基本、このようにプリンターの中央に配置されますが、画面左にある「中央に配置」ボタンを押せば、中央にセットできます。この段階で一度、ファイルをセーブしておきましょう。ファイル・メニューから「ファクトリーファイルを以下として保存」を選びます。そこで、任意の場所に名前を付けて保存しておきます。



3-3. 3Dモデルの簡単な操作
モデル表示枠では、左クリックしたまま動かすと回転、右クリックしたまま動かすとモデルの移動。センターホイールでズームができます。
ここで、モデルをダブルクリックするとモデルの簡易編集画面となります。
右側に設定枠が表示され、ここで位置を変更、スケールを変更、回転を変更できます。変更後、完了を押すと元の画面に戻ります。
完了ボタンを押すまで変更ができますので、いろいろ試してみることができます。(完了を押してもいったん、Simplify3Dを終了させて、先ほど保存したファイルをダブルクリックしても元に戻せます。)
プリントしたいモデルの配置、形状が決まったらここで、もう一度、ファクトリーファイルを保存しておきましょう。二度目からは、「ファクトリーファイルを保存で上書き保存されます。」なお、ファクトリーファイルで保存しておけば、先ほどインストールしたFFFファイル等の設定もそのまま保存されます。

設定完了後、下記のように設置面が変わったり、プリントする方向を変更したい場合は、キーボードのCtrlキーを押しながら「L」を押してください。そうすると下記の図のように画面の左下に「ベッドに接面したいモデル面の三角メッシュをクリック」と表示されるので、設置したい場所(ここでは、オブジェクトの下面の裏)をクリックすると元の位置に戻ります。これは、さきほどの編集画面ではなくメイン画面上で作業してください。

3-4. プロファイルの確認
これまでにプリントするモデルの位置まで決まりました。次にプロファイルの設定確認を行います。3-1で説明したメイン画面左下の「プロセス設定を編集」ボタンを押すと編集画面がポップアップ表示されるので、まず、左側の「マテリアルの自動設定」プルダウンメニューをクリックして、今、お使いのプリンターに適した項目を選びます。(メーカのFFFごとに表示が変わりますが、ここでは、Felixプリンターの2ヘッドの両方でPLAフィラメントを使う場合を示しています。)
次に中央にある「プリントクオリティの自動設定」プルダウンメニューを選びます。通常は、デフォルトのままでOKです。(ここでは、Normal Qualityが選ばれています。)
次に2ヘッドプリンターの場合は、右側の「エクストルーダ一の自動設定」プルダウンメニューをクリックします。ここでは、二つエクストルーダ一があるFelixプリンターなので、どのエクストルーダ一を使うかを選択します。(1ヘッドプリンターの場合は、表示されません。)
以上で、基本的な設定は完了します。この自動設定はプリンター別に最適化されていますので、通常はこの設定で問題ありません。(さらに変更する場合は、後述)

以上の設定を確認したらOKボタンを押すとメイン画面に戻ります。ここで、一度、ファクトリーファイルを保存しておきましょう。
3-5. Gコードを作成
これまでにGコードを作成するための前準備はすべて完了しました。次にメイン画面左下にある「プリント開始の準備!」をクリックしてください。アプリケージョンは、Gコードを作成し、下記のようなプリントプレビュー画面が表示されます。

これも通常は、問題ないので次に左下にある「ツールパスをディスクに保存」ボタンをクリックします。
すると通常のアプリ同様、下記のように保存する場所と名前の指定画面が出力されるので、任意の名前を付けてPC上に保存します。

その後、プレビュー画面に戻るので、左下にある「プレビューモードを終了」ボタンを押します。
すると、メイン画面へ戻ります。
実際にプリントする方法は、Simplify3Dが動作しているPCと3DプリンターをUSBケーブルでつないでプリントする方法と上記、保存したGコードのファイルをプリンターで利用可能なメモリーカード(SDカード等)にコピーしてプリントする方法があります。ここでは、一番シンプルなメモリーカード経由でのプリントを説明します。
ここで再度、ファクトリーファイルを保存したのちに「ファイル」メニューから「終了」をクリックしてSimplify3Dの操作を完了します。
次に先ほど保存した場所にあるXXX.gcodeファイルを3Dプリンターで利用できるメモリーカードにコピーします。3Dプリンターによって、SDカードのものやmicroSDカード等があります。PC側にソケットがない場合は、USB-メモリーカード変換機等を介してコピーしてください。このメモリーカードをプリンターにセットしてプリントしてください。実際のプリントのやり方はそれぞれのプリンターのマニュアルを参照のこと。
4.プリンターのコントロール
Simplify3Dは、単に3Dプリンター用のGコードを作成するだけでなく、PCと3Dプリンターを直につないでコントロールすることができます。
4.1. 設定
プリンターとパソコンを専用ケーブルで接続します。(通常、3Dプリンターに接続コードが付属されています。)
メイン画面のツール・メニューからマシンコントロールパネルを選ぶと下記、マシンコントロールパネル画面が表示されます。


次にポートをクリックしてCOM番号を選択します。(USBケーブルソケットが複数あるPCの場合は、3Dプリンターに接続されているポートを選んでください。)
次にその下のボーレートがデフォルトの115200になっているかどうかを確認してください。
これで、左上の接続ボタンを押すと緑色のマークに変わり、接続されます。(これで、接続されない場合は、PCとの接続方法は3Dプリンターのマニュアルに記述されていると思います。それを参照して下さい。)
上記、ジョグコントロール・タブを選択すると上記、コントロール表示がされます。これで、X,Y,Z軸それぞれコントロールできると思います。
4.2. これまでの3.で作成したGコードをプリント
3.では、作成したGコードをメモリーカードへ保存して、それを3Dプリンターからプリントする方法を説明しましたが、PCと3Dプリンターを接続することによって直接、Simplify3Dからプリントする事ができるようになります。
ここでは、3.までのようにすでにGコード作成する準備ができている状態から説明します。
4.1で、接続が確認できたら、右上の×で画面を閉じるか、後ろに隠れているメイン画面の一部をクリックして、メイン画面へ戻ってください。
ここで、3.と同様に「プリント開始の準備!」ボタンを押します。
下記のプレビューモード表示に変るので、「USB経由でプリントを開始」ボタンを押します。すると先ほどの「マシンコントロールパネル」が表示されます。ここで接続ボタンが緑になっているのを確認後、プリントボタンを押すと接続された3Dプリンターで、実際にプリントが開始されます。(接続されていない場合は、4.1を再度、確認してください。)
プリントが開始されたら、各タブで温度、プリンターからのエラー等の情報が確認できます。

プリントが正しく終了した場合は、プレビュー画面に戻ってGコードを保存しておきましょう。プリントが終わったら「プレビューを終了」を押し、メイン画面に戻ります。
4.3. 保存ファイルからのプリント
また、これまで作成したGコードをプリントしたい場合は、メイン画面から4.1同様、メイン画面でツール・メニューからマシンコントロールパネルを開きます。
ここで、接続ボタンが緑になっているのを確認後、プリントボタンを押します。
するとファイルを指定するダイアログボックスが出力されるので、プリントしたいファイルを選択します。
すると4.2同様にプリントが始まります。

5.メイン画面のメニュー一覧
メイン画面の上面にあるメニュー一覧を示します。(--表示は、項目名どおりの機能です)
5.1. ファイルメニュー
New Column | New Column |
項目名 |
補足説明 |
新規 |
新規ファクトリーファイルを作ります |
ファクトリーファイルを開く |
既存のファクトリーファイルを開きます |
ファクトリーファイルを保存 |
現在、画面に表示されているファクトリーファイルを保存します |
ファクトリーファイルを以下として保存 |
現在、画面に表示されているファクトリーを名前を変えて保存する |
最近のファクトリーファイル |
最近、編集したファクトリ一覧から選択して開く |
FFFプロファイルをインポートする |
FFFプロファイル(設定ファイル、xxx.fffファイル)をインポートする |
FFFプロファイルをエクスポートする |
現在、インポートされているFFFファイル(設定ファイル)一覧から任意のプロファイルを保存する |
モデルをインポート |
3Dモデルファイル(STL,obj,3mf)をインポートする |
モデルをエクスポート |
現在、インポートされている3DモデルファイルをSTLファイル(通常はバイナリーを選択)にエクスポートする |
最近使用したモデル |
最近、インポートとした3Dモデルファイル一覧から再度インポートする |
Gcodeファイルをプレビュー |
「ツールパスをディスクに保存」で保存したGcodeファイルを開く(モデルからの編集は不可) |
終了 |
アプリケーションを終了する |
5.2. 編集メニュー
New Column | New Column |
一つ戻る |
モデルの編集作業を一つ戻す |
やり直す |
一旦、戻したものを一つ進める |
選択をコピー |
選択(モデルを選択すれば、明るい色に変わります。インポートした状態では、そのモデルが選択されています)したモデルをコピー |
選択を貼り付ける |
選択したモデルを貼り付ける |
選択を削除 |
選択したモデルを削除 |
グループ選択 |
Shiftキーを押しながら選択したモデルをグループ化する |
すべてを選択 |
テーブル上のすべてのモデルを選択 |
すべてを非選択にする |
テーブル上のすべてのモデルを非選択 |
非グループ選択 |
Shiftキーを押しながら選択したモデルを最初の状態に戻す |
モデルを複製する |
選択したモデルを複数コピーします(コピーする個数が選択できます) |
モデルを中央に配置 |
ーー |
選択したモデルの原点を揃える |
ーー |
テーブルにモデルをドロップする |
現在の位置にドロップし直す |
ベッドに表面を配置 |
これを選んだ後にモデル上でクリックした場所をベッド面に配置する |
最大サイズにスケールする |
テーブル上でプリント可能な最大の大きさにスケールする |
インチからミリメーターにスケールする |
ーー |
プリント準備をする |
Gcodeを作成する(プリント開始の準備ボタンと同じ) |
5.3. 表示メニュー
通常の3DCAD同様にビューを変更できます。(ソリッドモデル等の用語はCAD用語集等を参照のこと)
New Column | New Column |
デフォルト |
インポートした時の表示(右斜め手前からのビュー) |
上 |
ーー |
前 |
ーー |
側面 |
ーー |
コーディネート軸 |
テーブル上のX,Y,Z軸を表示 |
ソリッドモデル |
通常の面ありの表示 |
ワイヤーフレーム |
三角形のメッシュを表示 |
法線を表示 |
上記三角形メッシュの法線を表示 |
クロスセクション |
断面表示の変更 |
自動回転表示 |
通常、左クリックしたままでビューを変えることができるが、このメニューを選択すると自動でビューが回転する |
5.4. メッシュ画面
3DCAD同様にモデル計算ができます。(メッシュ等の用語はCAD用語集等を参照のこと)
New Column | New Column |
容量を計算 |
選択しているモデルの容量表示(cm**3) |
エレメント統計 |
構成しているモデルのエレメントの表示 |
メッシュの削減 |
構成しているメッシュを荒くする(編集の一つ戻るが使えないので注意すること) |
繋がった部分を分離 |
複数のパーツで作られたモデルを分離する(編集の一つ戻るが使えないので注意すること) |
ミラーメッシュ |
モデルをX,Y,Z軸を選択して反転させる |
5.5. 修理
修理メニューは、インポートしたモデルに問題がある場合は、うまくGcodeが作成されない場合があります。この場合に修理メニューから簡易修理機能が利用できます。(この機能で修正できない場合は、後述する専用ツールを使うか、モデルを作成した3DCADにて修正してください。)
各項目の結果は画面の左下に表示されます。また、この修正はインポートしたSTLファイルを変更しますので、編集後、ファイルメニューからモデルファイルをエクスポートして保存してください。
元のstlファイルの修正、修理は高機能の修正専用のツールがあります。下記のサイトにて使い方が紹介されている『netfabb』は、無料版もあり、定評がある修正ツールです。
New Column | New Column |
非多様エッジを識別 |
モデルが閉じているかどうかを識別 |
自己交差する表面を識別 |
メッシュ面が交差しているかどうか識別 |
結果をクリアにする |
上記、2つの識別で問題がある場合は、強調表示さるので、それをもとに戻す |
法線を修復 |
モデルの法線ベクトルを再計算し、法線が正しくない方向を向いている場合の修復 |
反転した三角メッシュを修正 |
モデルを解析し、三角形が間違った方向を向いているようなサーフェスを探して修正 |
面を反転 |
上記修正で解決されない場合、面を反転 |
重複した三角メッシュを削除 |
重複したメッシュを解決 |
孤立した三角メッシュを削除 |
結合されていない三角メッシュを削除 |
5.6. ツールメニュー
New Column | New Column |
オプション |
各種キーの設定、表示のデフォルト、通信オプション等の設定(通常はデフォルトのままでよい) |
マシンコントロールパネル |
FFFファイルで設定されたプリンターのコントロール画面表示 |
ベッドレベリングウィザード |
FFFファイルで設定されている3Dプリンターのベッドレベリングが出来る。(USBケーブルで接続されている場合のみ。開始前には必ずヘッドがホーム位置にあること) |
デュアル射出ウィザード |
2ヘッドの3Dプリンターを使い、簡単に2色のプリントができるツール(6.で後述) |
可変設定ウィザード |
プリントの途中からプリント設定を変更することができるツール |
ファームウェア設定 |
一部の3Dプリンターのファームウェアのアップデート等の管理ができるが、通常は、プリンター本体で管理する。 |
サポート構造体をカスタマイズ |
サポートの構造を変更したり設定ファイルをインポート、エクスポートできる(同様の設定はfff設定でも出来るがここの設定が優先される。6.で後述) |
5.7. アドインメニュー
機能を追加することができる。デフォルトでは、以下の一つだけが利用可能
New Column | New Column |
画像を3Dモデルに変換 |
平面(jpeg,pngファイル等)を押し出し機能で簡易的に立体化してstlファイルを作成することが出来る。(通常、これは3DCAD等で作成する。) |
5.8. アカウントメニュー
ライセンス済みのアカウントを管理する
New Column | New Column |
logout |
アカウントをログアウトする(一度、ログアウトするとパスワードを入れないとアプリケーションが起動しなくなるので注意) |
5.9. ヘルプメニュー
New Column | New Column |
製品の非アクティブ化 |
アプリを登録前の状態に戻す |
構成アシスタント |
初めて立ち上げたときに表示される3Dプリンターの選択一覧表示 |
更新をチェックする |
アプリのバージョンをチェックし、バージョンをアップが可能な場合は、その旨が表示される |
言語を選択 |
最初に設定した言語を再度、選択する |
すべての設定をリセットする |
登録後の初期設定に戻す |
クイックスタートガイド |
簡単な使い方が表示される(ただし、英文のみ) |
Simplify3Dについて |
バージョン、ID等の表示 |
6.プロセス設定の詳細
これまで、述べてきたように利用している3DプリンターのFFFファイルのデフォルト設定により基本的なプリントは可能です。しかし、プリントするモデルやフィラメントの種類等により、プロセス設定を変更したほうがよりよいプリント結果を得られることがあります。Simplify3Dには、様々なプロセス設定の変更ができる機能が備わっています。設定項目も多く、組み合わせはさらに多くなるのでここでは、設定メニューの代表的なものを説明していきます。
また、3-3で「プリントクオリティの自動設定」プルダウンメニューのせつめいで、「通常は、デフォルトのNormal Qualityのままでよいです。」
と述べましたが、ここで、Hi Quality 以上をえらべば、全体の品質向上が期待できますが、まずは下記のそれぞれの設定項目を理解した後に変更してみてください。それぞれの設定項目がどのように変更されたかも理解できるでしょう。(このブルダウンメニューを変更すると下記説明してゆく設定値も変わります。)
6.1. エクストルーダタブ
まず、メインメニューの左にあるプロセスの名前(デフォルトでは、Process1~)をダブルクリックするか、その下にある「プロセス設定を編集」ボタンをクリックすると右側にFFF設定というウィンドウが表示されます。ここで、このように一部の設定画面になっている場合は、「詳細を表示」ボタンを押します。

すると下記のように「エクストルーダタブ」が選ばれます。一度、設定するとこの詳細表示となります。(通常は、この状態で作業をしていきます。)

このようにエクストルーダタブ、レイヤータブ、追加機能タブ等、12個のタブが選択できます。
エクストルーダタブは次の3つのエリアからなります。
・エクストルーダリスト
デュアルヘッドのプリンターのFFFファイルで設定されている場合は、LeftとRightヘッドの選択ができ、それぞれに設定できます。
・概要
ここは、基本設定で通常はデフォルト設定で問題ありません。ただしノズル径を変更した際には、変更したノズルの直径を記入します。
・にじみコントロール
ここでは、主にリトラクションの調整ができます。リトラクションとは、フィラメントをノズル内で押し出したり引き抜いたりする動作です。下図に3Dプリンターのノズル付近のイメージ図を示します。ここで、緑の部分がフィラメントです。

通常、モデルの一周(1ループ)をプリントすると一旦、フィラメントを引き抜き、ヘッドを次のループの開始場所へ移動してから再度、フィラメントを出します。下図にこの時のイメージを示します。(上図の断面図で示します。)
左がプリント中のノズルの状態で、右が、フィラメントをリトラクション動作(引き抜いた)状態です。


この時、リトラクション(引き抜き)距離が十分でない場合、フィラメントがノズル出口付近に残ったままノズルを移動させてしまうと移動中にフィラメントがモデル上に垂れてしまいプリント品質を落としてしまうことがあります。このため、リトラクションには以下の調整をすることによりプリント品質を向上させることがあります。一番有効なのは、「リトラクション(引き抜き)距離」です。
・リトラクション(引き抜き)距離
通常のプリンターでは、1mm程度がお勧めですが、引き抜き距離を2mm~4mm程度に変更することによりプリント品質がよくなることがあります。(上図の右側が引き抜いた状態です。)
・リトラクションスピード
リトラクションのスピードを変更することにより余分なフィラメントの垂れを防ぐ場合がありますが、早くしすぎるとモーターの動作異常(脱調等)をまねくことがあります。
3Dプリンターにもよりますが、経験上これ以外のリトラクション項目はあまり変化がありませんでした。モデルの壁面に異物や波目が発生した場合は、以上の2点の変更をお勧めします。
・ループ最終点から余分に移動
1ループをプリント完了する少し前にフィラメントの射出をストップしてノズルにフィラメントが残らないようにするものです。
・ノズル拭き取り動作
これは、1ループをプリントし終わる際にすぐにプリント終了とせず、しばらくからプリントしてから(筆をはらうようにノズル先を少しこすり、余ったフィラメントを出し切ってから)次のループのプリント動作準備に入ります。これも1mm程度をお勧めします。
6.2. レイヤータブ
次は、プリントされるときのレイヤーについての設定ができるレイヤータブです。
レイヤータブはレイヤー設定、第一レイヤーの高さ、スタート地点、の3つのエリアからなります。

レイヤー設定
・上面のソリッドレイヤー、底面のソリッドレイヤー、アウトライン/外周シェル それぞれのレイヤー数を設定できます。通常は、3,4をお勧めしますがモデル形状によっては、多少増やすとプリント品質が向上することもあります。下図では、アウトラインを3で設定した場合を示します。それより内部はインフィルとなります。(後述)ここでの他の設定はデフォルトのままでいいと思います。

第一レイヤーの高さ
第一レイヤーがうまくベッドに張り付くかどうかが、プリント完成品質に大きく影響します。そのため、第一レイヤーだけ別の設定にすることで張り付きをよくすることができます。
・第一レイヤーの高さ、第一レイヤー時の射出幅、第一レイヤーのスピード
第一レイヤーの高さと射出幅を大きめで、スピードを低く設定すると張り付きがよくなります。
スタート地点
それぞれのループ回数ごとのプリント開始位置を設定できます。
・最適プリントスピードを行うための最適化されたスタート位置
通常は、デフォルトのこの設定で問題ありません。
・特定の位置に一番近いスタート地点を選択
ループ事のつなぎ目を目立ちにくい場所に揃えることによってプリント品質が向上することがあります。その場合に、これを選択し、座標で指示できます。(例えば、X=0.0 Y=0.0 と設定すると各ループを常にステージ原点に最も近い場所からプリント開始することが出来ます。
・すべての外周に不特定のスタート位置を使用します
あえて、アトランダムにループを印刷開始したい場合に選択します。
6.3. 追加機能タブ
追加機能タブには、以下の4つのエリアがあります。

スカート/ブリム
ラフトを使用する
この2つの機能はプリント開始時にモデルとの張り付きをよくし、はがれを防止します。スカート/ブリムは、実際のモデルが出力される範囲の周りに薄い層を作ります。ラフトは、底面積部分に金網を重ねたようなやや厚めの土台を作ります。下図に両方のイメージを示します。左がスカート/ブリムだけ、右がラフトだけを選んだものです。


通常、どちらかを選択します。(「ラフトを利用する」の「モデルに対するラフトのオフセット」を大きめにとれば、スカートの機能と同様に底面積を大きくとることができます。)
通常、それぞれの設定はデフォルトでよいでしょう。(今回は、わかりやすくするため、スカート/ブリムは「モデルからのスカートオフセット距離を1㎜開けています。)
ただし、そったり剥がれたりする場合は、大きめに設定するのもよいでしょう。
また、注意点としては、デュアルヘッドの場合、どちらのヘッド(エクストルーダ)を選ぶかです。ヘッド1をプリント用フィラメント、ヘッド2をPVAのようなサポート材を使う場合は、この部分もヘッド2を使うべきです。
プライムピラー(柱生成)を使用
プライムピラーは、主にデュアルヘッドの3Dプリンターに有効な機能で、下記のようなタワーをモデルの近くにプリントします。

デュアルヘッドの場合、片方のヘッドが休止しているときには、一旦、温度を下げて待機しています。そこで再度プリントが始まる前に温度を上げてからプリントするので、フィラメントが十分に射出されないことがあります。そこで、このプライムピラーを使用するとまず、このタワー部分をプリント後、本体をプリントしていくので、プリント品質を落とすことなくプリントできます。また、1ヘッドの3Dプリンターの場合も上図のようなモデルの場合、頂点付近が小さくなり、十分にプリントレイヤーが固まるまえに次のレイヤーのプリントを開始してしまい、プリント品質を落とす場合があります。この場合、プライムピラーを利用にしていれば、本体とタワー部分を交互にプリントして行くので品質を向上させることがあります。
設定値としては、以下があります。
・プライムピラーに使うエクストルーダ
これは基本、すべてのエクストルーダにしておけばよいでしょう。
・プライムピラーの幅
これは、できるだけ大きめがお勧めです。ただし、大きいと当然、プリント時間がかかるのと本体に近くなってしまうので、注意してください。
・ピラーの場所
これは、デフォルト(北)をお勧めします。
・スピードの倍数
本体プリントとの倍率を設定できます。これもデフォルトでいいと思います。
オーズシールド(にじみ防止シールド)を使用
レイヤーのモデルのプリントを開始する前にモデルの回りに壁のようなシールドを形成します。これもプライムピラーと同様に主にデュアルヘッド利用時のプリント品質を向上させることが期待できます。
6.4. インフィルタブ
インフィル設定は、プリント品質、プリント時間に影響を及ぼす重要な設定項目です。
通常、3Dプリントの際、モデルの内部は、100%充填せずにインフィルという格子状の構造にします。
インフィルの充填率である「内部埋めの割合」は、通常20パーセントから30パーセントがおすすめですが、より強固なモデルを作成したい場合は、さらに割合を増やします。(完了までのプリント時間は、増加します。)
ただし、インフィルを上げすぎるとベッドからの剥がれが起きたり、構築物の割れが発生することがあるので、注意が必要です。ときにABS、ナイロン等のフィラメントは収縮率が高く、PLAに比べてより剥がれやすくなるので、インフィルはあまり高くしないこと(30パーセント以下)をお勧めします。

下図は、インフィルの条件を変えて印刷途中の状態を真上から見た様子です。


上から、「内部埋めの割合」25パーセント、75パーセントに変更した場合です。また、この割合は、詳細設定タブの上にある「インフィルの割合」スライダーを動かして設定することもできます。
埋めの割合以外にも多くの設定値がありますが、まずは、この「内部埋めの割合」を変更してみてください。
他の設定としては、「内部埋めパターン」があります。デフォルト(上の図)は、Rectilinear(格子状)ですが、他にhoneycombを選択すると下図のような形状のインフィルとなります。
プリントしたいモデルの形状によりますので、ベッドから剥がれる、プリント途中で割れる等の症状が出た場合は、この設定値を変えてみることが有効な場合があります。

6.5. サポート材タブ
サポート材の設定は、「サポートマテリアルの生成」、「高密度サポート」、「自動配置」、「モデルとの分離」、「サポート材インフィル角度」等の設定エリアあります。ここでは、「サポートマテリアルの生成」エリアのサポート用エクストルーダの設定を確認してください。(デュアルヘッドの場合)また、「自動配置」エリアの「最大オーバーハング角度」の45度を確認してください。積層型3Dプリンターでは、モデルの45度の傾き以下の場合にサポート材を着けます。(プリント後のサポートを剥がす必要があるので基本的には、最小のサポート材でプリントします。)
他の設定は数字で管理するのは難しいので、ツールメニューの「サポート構造体をカスタマイズ」を利用して変更してみるのをお勧めします。(7にて後述)
(そこでの変更がこ数値に反映されます。)

6.6. 温度タブ
温度設定も重要な設定項目となります。
下図のようにデュアルヘッド3Dプリンターでは、
の5つ、シングルヘッドの3Dプリンターでは、以下の2つを別々に設定します。
Extruder の温度設定は、FFF設定(Felix(Left)_PLA(right)等)と設定どおりのフィラメント使用の場合は、基本、デフォルト設定でよいです。フィラメントを変更した場合は、それぞれのフィラメントの仕様書(箱に書いてあるものも多い)の推奨通りに設定してください。
通常、下記のフィラメント種類の場合、
を推奨します。

また、Cooldown temperature とは、デュアルヘッドの場合、例えばRight Extruder での一つのプリントループが終わり、次にLeft Extruder でのプリントに進む場合、しばらくプリントしない Right Extruder 温度がそのままだとフィラメントが溶けて垂れ落ち、モデル上に落ちてしまうことがあるため、次のプリント開始時まで一旦、温度を下げるのがよいでしょう。基本、デフォルトは低めに設定されていますが、(FelixのPLAの場合、プリント時185度、クールダウン時145度)それでも垂れる場合は、さらにクールダウン時の温度を低く設定させた方がいい場合があります。ただし、あまり温度を低く設定するとヘッド交換に時間がかかり、プリント時間が長くなります。
strong>また通常、同一フィラメントは同一温度でプリントしますが、レイヤーごとに温度設定も可能です。ここで、1レイヤー目の温度を高く設定して1レイヤー目の張り付きを強くすることもできます。
6.7. 冷却タブ
冷却タブは、冷却FAN設定を変えることができます。通常、1レイヤー目は張り付きを重要視してFANスピードを0に設定し、2レイヤー以降からFANを回していきます。プリンターによっては、FANが100パーセントでは、冷却しすぎてExtruderの設定温度まで上がらない場合があります。この場合、ここを60パーセント程度にしてプリントすれば、解決する場合があります。

また、Cooldown temperature とは、デュアルヘッドの場合、例えばRight Extruder での一つのプリントループが終わり、次にLeft Extruder でのプリントに進む場合、しばらくプリントしない Right Extruder 温度がそのままだとフィラメントが溶けて垂れ落ち、モデル上に落ちてしまうことがあるため、次のプリント開始時まで一旦、温度を下げるのがよいでしょう。基本、デフォルトは低めに設定されていますが、(FelixのPLAの場合、プリント時185度、クールダウン時145度)それでも垂れる場合は、さらにクールダウン時の温度を低く設定させた方がいい場合があります。ただし、あまり温度を低く設定するとヘッド交換に時間がかかり、プリント時間が長くなります。
また通常、同一フィラメントは同一温度でプリントしますが、レイヤーごとに温度設定も可能です。ここで、1レイヤー目の温度を高く設定して1レイヤー目の張り付きを強くすることもできます。
6.8. Gcodeタブ
Gcodeとは、コンピューター数値制御の工作機械、(CNC、マシニングセンター等)でもっとも広く使われているプログラミング言語です。基本的に、Gコードはコンピューター化された工作機械に、何をどのように作るかを命令するための言語だ。「何を」「どう」作るかは、おもにどこへ移動するか、どのくらいの速度で移動するか、どのパスを取って移動するか、の命令で定義されます。ただし、基本文法は共通ですが、3Dプリンターごとに機能拡張(Mコード等を使って)されており、ハードウェアごとに互換性がないのが実際となっています。このタブは実際にプリントされるパスの変更ではなく、3Dプリンター自体の設定となっていますので、基本的には、プリンター本体で設定を行います。
ただし、今回のモデルだけ変更したい場合、例えば通常、ヘッド位置の調整はプリンター本体に機能がありますが、今回だけZ軸を高めにオフセットしてプリントしたい場合は、左下の「グローバルGcodeオフセット」のZ-軸を変更することで、プリント時にヘッドの高さを変更することが出来ます。

6.9. スクリプトタブ
このタブで表示されているものが、実際のモデルを設定に従ってSimplify3Dが生成したGcode です。
基本的にこれらのGcodeは、理解する必要がありませんが、プリンターの挙動を変えたい場合(プリント開始後、ある時点で一旦、プリントを停止したい等)は、このGcodeを変更することによって、可能となります。なお、Gcodeは、プログラム言語としては、難しいものではありませんが、それでも別途、学習が必要となります。書籍、Webで学習可能です。
「NCプログラム基礎知識」という下記サイトはGcodeの基礎がよくまとまっているので、参考まで。https://nc-program.s-projects.net/g-code.html

6.10. スピードタブ
これも、重要な設定項目のひとつです。
ここで、よく変更するのは、「基本プリントスピード」です。
3Dプリントする場合、モデルの壁面がみだれたり波打ったりする場合が、時々あります。プリンター本体のモータやベルトに問題がある場合もありますが、この「基本プリントスピード」を遅くすることによって改善することがあります。PLAの場合、これを3000 mm/分 程度に遅くすると改善することがあります。これもプリント時間に影響しますので、何度か数値を変更して試してみるのをお勧めします。
また、適正温度にもかかわらず、途中でモデルが剥がれたりそったりする場合にも速度を低めに設定することによって問題が解決することがあります。

6.11. その他のタブ
このタブは通常、デフォルト設定のままでよいでしょう。
ただし、右上のエリアの「フィラメントのプロパティ」が実際のものと異なる場合は記入してください。一部、海外製のフィラメントで実際にカタログ値と異なるフィラメント径(実際は、1.75mm以下)のものもあるので、プリント壁面が荒れている場合で、スピードを落としても改善されない場合等、ノギス等でフィラメント径を測ってみることもお勧めします。
また、プリント自体には影響はありませんが、この設定エリアの「フィラメント代」、「フィラメント密度」を実際に利用しているフィラメントの値に変更しておくとプレビューモード画面(メイン画面から「プリント開始の準備ボタン」を押して表示される画面)の左上に表示される「統計を作成する」に表示されるマテリアル価格等に反映されます。下図に示します。



6.12. 高度な設定タブ
ここは、通常は利用しませんが、より複雑な設定が可能です。
レイヤーの修正エリアでは、ある高さまでプリントしたらプリント停止したり、ある高さからプリントを開始する等の設定ができます。

7.応用編
これまでに基本的な機能を一通り説明してきました。7.では、これまで十分な説明ができていなかったツール機能(メインメニュー)等について追加説明を行います。
7.1. ツールメニュー「サポート構造体をカスタマイズ」について
下図モデルのようなオーバーハングを持つ構造では、せり出した部分が固化する前の段階で崩れ落ちる、あるいは、垂れ落ちる可能性があります。そこで、一般には、これを支えるサポートの仕組みが必要で、このサポートに使用される素材を「サポート材」と言います。
オーバーハング」の程度の低いものは、造形物の崩れが軽度なため必ずしもサポート材が必要でない場合があります。その目安は「45度の法則」と言われ、垂直軸から見た「オーバーハングの角度が45度を越えた場合は一般にサポート材が必要と考えられます。下図は、ちょうど45度のモデルです。

このモデルを使ってツールメニュー「サポート構造体をカスタマイズ」を使ってみましょう。このツールを選ぶとサポート設定画面が出力されます。
ここで、「最大オーバーハング角度」を46度に設定して、「自動サポートを生成」ボタンを押すと上図のようにサポートが作成されません。これを44度に設定すると下図のようにサポートが作成されます。

また、設定は、上記と同じ、46度のままで、モデルを頂点を軸に逆時計まわりに10度傾けてから「自動サポートを生成」ボタンを押すと下図のようにサポートが片面だけに付きます。底面との角度が低くなるとサポートが必要になるのが感覚的にわかると思います。
このように「最大オーバーハング角度」を調整することによりサポートを付けるか付けないか、または付ける場所を変更することができます。

さらに、「サポート柱の解像度」をデフォルトの1mmを10mmに変更してみると下図のようにサポート材の密度が荒くなるのがわかります。モデル形状にもよりますが、このように「サポート柱の解像度」を荒くすることにより、プリント後のサポート材剥がしが簡単になる場合があります。

この形状で、OKであれば、「完了」ボタンを押し、「プリント開始の準備」ボタンを押すとこのサポート形状が優先されたパス(Gcode)が作成されます。
また、この条件をPC上にエクスポートしておき、インポートして利用することもできます。(サポート構造を保存 エリアにボタンがあります。)
次に手動配置 エリアを説明します。
まず、これまで同様に「自動サポートを生成」ボタンを押します。下図のようになります。(わかりやすくするため「サポート柱の解像度」を1㎜にしました。)

次に「既存のサポートを削除する」ボタンを押し、生成されたサポート材で不必要と思われる場所をクリックしていきます。すると下図のようにサポート材が削除されます。

次に任意の場所にサポート材を付加してみましょう。
「新しいサポート構造体を追加」ボタンを押して、モデルの上にマウスカーソルを持って行くと灰色でサポート材の候補を表示されます。そこでクリックするとその場所に新しいサポート材が下図のように追加されていきます。

ここで、すでに説明した「サポート材の改造度」を変えながらサポートを付けていくこともできます。
サポート作成が完成した時点で「完了」ボタンを押すと、その形状がモデルに残り作成されるGcodeに反映されます。
また、このツールを使うことによって、よりサポート材が少なくてすむモデルの向きの決定を試行錯誤することにも利用できます。(一般的にサポート材が少ない方が、プリント品質がよい場合が多いのでモデルを横に倒したり上下を逆にしてプリントしたほうがよいことがあります。)
7.2. ツールメニュー「デュアル射出ウィザード」について
デュアルエクストルーダ(デュアルヘッド)のプリンターの場合、2色プリントなどの設定は、それぞれのオブジェクトごとに「プロセスを追加」ボタンを押して複数のプロセスを作成する必要があります。(設定自体はこれまで説明してきた内容と同じ。)
この設定をやりやすくするツールがこのツールメニューの「デュアル射出ウィザード」です。
まずは、下記のようにプリントしたいモデルをインポートします。(この例では、2つのモデルを1つのモデルとしてプリントします。)


今、上図では2つのモデルが重なっています。
これをダブルクリックし、モデルを移動させて本来の位置に手動でセットさせるのが基本ですが、ここでは、このツールの機能を使ってみます。
ここで、2つのモデルをシフトキーを使って両方選んでからメニューの「デュアル射出ウィザード」を選択すると下図が表示されます。
このように2つのモデルを認識して、2つのエクストルーダに分けてプロセスが自動で作成されています。(これは、後ほど、変更も可能なのでこのままとします。)
ここで、画面左下にある「モデルをグループ化し、整列させる」にチェックを入れておきます。

ここで「OK」ボタンを押すと下図のように接合部分を自動的に見つけてモデルを配置してくれます。この機能は非常に便利で、完璧ではないようですが、3DCADでのアセンブリを使って部品を組み立てて、部品ごとにSTLファイル化したものを自動で一つのグループにしてくれるので、とても有効なツールだと思います。

次にこれまで同様「プリント開始の準備」ボタンを押すと下図の表示が出力されます。ここで、すべてを選択「すべてを選択」ボタンを押してOKボタンを押すとこれまで同様にプレビューモードに変わりGcodeが作成されます。(下図)


実際に3Dプリントして、完了したものを下図に示します。2色でプリントされているのが確認できます。

8. 最後に
これでSimplify3Dソフトの全般にわたる説明を終了します。
ただし、このソフトの機能、設定項目はとても多く、すべてをここで紹介することができません。そこで、トラブルの対応や、機能別のビデオが関連サイトにいくつかありますので、下記リンクを参考にしてみてください。
・日本語サイト
ここは、株式会社マグナレクタ(旧GENKEY)さんのサイトです。3Dプリント後の結果の品質トラブル別にビデオにて日本語で解説されている貴重なサイトです。とても参考になると思います。
http://wiki.magnarecta.com/?Troubleshooting
上記ページの下の方にスクロールすると「Simplify3Dのプリントクオリティトラブルシューティングガイド翻訳と解説動画集」というコーナーがあります。
・simplify3d サイト(英語)
開発メーカーの米simplify3d サイトは、英語ですが下記リンクにビデオがあります。各機能の紹介です。
https://www.simplify3d.com/support/videos/
5.8ヘルプメニュー で説明した「クイックスタート」を選ぶと下記リンクに飛びます。これは、ビデオではありませんが、簡単な説明があります。
file:///C:/Program%20Files/Simplify3D-4.0.0/QuickStartGuide.pdf
下記リンクでは、さらに詳しく機能の使い方のリンクがあります。(テキストと画像のみでビデオなし。)
https://www.simplify3d.com/support/articles/
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