Metal X デザインガイド Part 1

Metal X デザインガイド Part 1

Markforged社の金属3Dプリンター「Metal X」のデザインガイド Part 1です。

Part 2はこちら

 

※本記事は2019年2月22日に更新した内容です。最新版は下記バナーより無料ダウンロードしていただけます

Markforged 2020年版金属3Dプリンターガイド

 

 

Metal Xデザイン参照ガイド

別段の指定がない限り、記載の寸法は最終部品用に設計されたものです。 3D プリントは形状依存プロセスであるため、これらのガイドは推奨事項として機能し、すべての実装を反映するわけではありません。

Sinter-1の最大パーツサイズ

X: 235.0mm
Y: 68.3mm
Z1: 65.5mm
Z2: 80.0mm
R: 55.5mm

上記は、Sinter-1 を使用した Metal Xシステムにて作成されたパーツの焼結後の最大寸法です。ソフトウェアがパーツサイズをX、Y、Z1の容器内に収まるよう制限します。Sinter−1 の焼結炉の天井は円筒形なので、パーツの上面が R の半径内に収まる場合は、 Z2の高さまでパーツを配置できます。
 

最小パーツ寸法

X: 2.0mm
Y: 2.0mm
Z: 1.3mm

上記の最小寸法は、各ビードの押出幅および高さ内に制限されます。パーツを正常にプリントするために、寸法はルーフレイヤー、フロアレイヤー、およびシェルの最小数から導き出されています。

 

 

 

 

 




 

サポートなしの最大オーバーハング角度


θ: 45度

上記は、パーツ部分がサポートなしで保持可能な水平に対する最小角度です。Eigerは、45度を下回るオーバーハング全てにサポートを生成します

  

最小穴径

XY: 1.5mm
Z: 1.0mm

直径が小さすぎる場合は、プリント中に穴がふさがってしまう、または正確にプリントされないことがあります。水平面の穴Zは、垂直面の穴XYよりも正確にプリントされます。

 

最小ポスト径


XY: 3.0mm

Z: 3.0mm

直径が小さすぎるポストは、真っ直ぐにプリントされないことがあります。細くて高さのある形状は波打ったり壊れたりする場合があるので、高さと直径の比率を考慮する必要があります。

  

最小エングレーブ形状

 

Zレイヤーの形状
H: 0.13mm
W: 0.50mm

水平面XYの形状
H: 1.5mm
D: 0.5mm

垂直面XYの形状
W: 0.5mm
D: 0.5mm

エングレーブとは、モデルの表面よりも凹んでいる形状を言います。これらの値は文字を彫ったり、テクスチャーを使用する場合に参照します。エングレーブ形状の幅が狭すぎる場合、表面に埋もれることがあります。

 

最小エンボス形状

Zレイヤーの形状
H: 0.13mm
W: 1.0mm

水平面XYの形状
H: 1.3mm
D: 0.5mm

垂直面XYの形状
W: 1.0mm
D: 0.5mm

エンボスとは、モデルの表面上に隆起している形状を言います。これらの値は文字を彫ったり、テクスチャーを使用する場合に参照します。エンボス部分が小さすぎる場合、表面に埋もれることがあります。

 

重要:幅が 2.0mm未満の形状の隙間を防ぐために、エンボスは 0.25mmの倍数、つまり金属の単一焼結押出しの幅になるように設計されています。

 

プリンティングの最適化

パーツをデザインするにあたり、どのようにしてプリントプロセスを最適化できるかを検討することが大切です。以下は、設計の際に留意すべき4事項です。

 

1. 重要な寸法を特定する

3Dプリンターは、ビルドプレートに対して平行な平面の上でより高い精度を発揮します。重要な寸法や形状がプレートに平行になるように設計します。

2. ベッド接触の最大化

ビルドプレート上の表面積が大きくなるほど、サポートが最小限に抑えられ、ビルドプレートへの接着性が改善されます。一番広い面がビルドプレートに接するようにプリントします。

3. サポートの削減  

サポートが少ないほどプリントおよび処理時間が短縮されるため、サポートを最小限に抑えるように設計します。 また、プリント後にサポートが取り外しやすいように設計します。

4. バッチ処理の考慮  

一度に焼結炉に入れられるパーツ数が多いほど、パーツあたりのバッチコストが低くなるため、他のパーツと一緒に焼結炉に入れるようにします。

 

サポートを最適化するためのオーバーハングの変更

サポートは、プリントおよび焼結中のオーバーハングの崩壊を防止するために必要です。プリント時間の短縮およびサポート量を最小限にできるように、サポートの設計を検討することが大切です。また、サポートに手が届き、取り外しやすい設計であることを確認してください。もしそうでない場合は、サポートを除去しやすくするためにオーバーハングを修正することを検討します。



洗浄の最適化

厚肉部を削る

パーツに厚みがあるほど、洗浄時間が長くなります。洗浄時間を最小限に抑えるため、パーツの容量を削って表面積を増やします。パーツ全体の壁の厚みが一定になるようにします。


ボウルを上下逆さまにして洗浄する

洗浄液がバインダー材料より軽いため、ボウル形状のパーツを上下逆さまに洗浄することで洗浄液がボウル内に浸透し、洗浄時間を短縮できます(プリント時の向きを変える必要はありません)。



焼結の最適化

応力集中を軽減させる

パーツは焼結時に収縮し、熱応力を受けます。応力集中を軽減するには、角を切り取りパーツの厚みが緩やかに変化するように設計します。

形状のバランスを確認 

焼結工程を経るにつれて、熱によりパーツが展性を持ち粘土状になります。サポートを使用しない場合は、プリントされた向きのままパーツが安定することを確認します。頂部が重かったり、片持ちであったり、薄くて高さのあるような形状は避けるようにします。

 


下端に面取りを付け足す

焼結中にパーツの下端が広がりはみ出すことがあります。0.5 ~1.0mmのフィレットをパーツの底部に付け足すと、特に穴や溝のような小さな形状において、底部が広がるのを防止できます。

 

 

戦略的金属プリントの実務

製品のうち、どの部分を3Dプリントするべきかをよく考えましょう。形状によっては、他の方法の方が効率的に製造できる場合があります。必要に応じて、他のパーツをデザインに組み込むことでデザインの複雑さを軽減し、プリント時間および費用を削減します。以下に例をご紹介します。

 

位置合わせにピンを使用する

ダウエルピンをパーツに圧入する、またはショルダーボルトで位置決めをすることにより、位置合わせの精度を向上させ、材料とプリント時間を節約します。このグリッパージョー(右図)に押し込まれたダウエルピンは、グリッパージョーをロボットアーム上に配置します。この設計変更により、サポートの削減、プリント向きの簡素化が可能となります。

 

シンプルな形状と複雑な形状のパーツは別々にプリントする

金属3Dプリントでは、複雑な形状のパーツはシンプルな形状とは別々にプリントしましょう。右図のようにインペラと一体化したシャフトをプリントすると、Sinter−1 に横向きにしか収まらず、プリントに最適な向きにすることができません。代わりに、インペラを回転シャフトとは別にプリントすることで、プリント時間の削減およびパーツの複雑さを低減することができます。止め輪はインペラとシャフトを固定し、故障した場合はキーを利用して交換します。

 

モジュラー機能を備えたパーツを分ける

右図の板金スタンプは、別に金属プリントしたインサートを挿入できるように設計されています。金属インサートを別のパーツとして本体と分割することで、必要な部分のみに金属特性を局在化できるので、デザインの変更ごとに新しいツールをプリントする必要がなくなります。また、メンテナンスや工具の修理も容易になります。

 

ハードウェアはプリントしないでください

Metal Xの技術はハードウェアをプリントすることにあまり向いておらず、既製のハードウェアを購入した方がコストと時間が掛からない場合が多くあります。軸受筒、ベアリング、およびバネのようなハードウェアは特殊なプロセスで製造されているため、3Dプリントしたものでは同等の機能を発揮しません。ワッシャ、ナット、ボルト、および同様のハードウェアは、プリントするより購入した方がより安価で効率的です。

 

 

金属パーツの後処理

グリーン状態のパーツのサンディング

温水下で240~320番のサンドペーパー等でグリーンパーツのウェットサンディングをすると、焼結後にマットな仕上がりになります。グリーンパーツは脆く、加工をすると精度や焼結の性能に影響を及ぼす場合があるので注意してください。シンクが目詰まりしないように、容器やフィルターの上でグリーンパーツを研磨し、適切な個人用防護具を使用します。

 

焼結パーツの機械加工及び研磨

右側の図は、充填材を露出させるリスクを冒すことなく、レイヤーの線の偏差を除去するための後処理部分の参考です。機械加工する面をオフセットすることで、希望の寸法に仕上がります。

 

重要:プリントした金属パーツは、壁の厚さが 1.0mm、ルーフとフロアの厚さが 0.5mmです。パーツを後処理する際は、シェルが完全にカットされインフィルが露出してしまうので、これ以上の量を取り除かないでください。



 

ねじ山

ねじ山を後加工(タップ)する場合

タップ加工によるねじ山は、プリントしたねじ山よりも厳しい公差になります。鋼材やその他の硬質金属のねじ穴サイズは、50%の嵌合いを使用してください。

 

ねじ山を3Dプリントする場合

3Dプリントしたねじ山はタップで追う必要があるか、または均一なねじ山にするためにラッピングコンパウンドが必要な場合があります。

 

垂直ねじ



斜めねじと水平ねじ



一部の金属プリントしたパーツは、その複雑な形状により、機械加工またはタップするための固定が難しい場合があります。このような場合は、 Markforgedの Mark TwoあるいはXシリーズの3Dプリンターで金属パーツを固定するための工作物保持具を作成することができます。

 

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