formnext 2018レポート Part 2―3Dプリンティング最新動向&まとめ

formnext 2018レポート Part 2―3Dプリンティング最新動向&まとめ

今年もドイツ、フランクフルトのformnextに参加してきました。formnext 2018レポートの連載第2回目です。(第1回レポートはこちら

formnextは3Dプリンティング業界内で、ビジネスチャンスの展示会としてその評判を得ています。formnextで起きていることを理解することは、3Dプリンティング業界で何が起きているかを理解する上でとても重要です。今回のレポートでは、この業界が向かっている方向性、および、未だ直面している課題について、皆さまと一緒に理解を深めたいと思います。

 連載第2回目は、3Dプリンティングの最新動向「サイズの大型化」を始めとしたその他の動向をお伝えすると共に、formnext 2018で得た情報や学んだことを、どのようにして今後に活かすべきかを考えます。

 

サイズの大型化

パーツサイズの大型化(1m以上)は、今回、革新的な展示が多く見られた分野のひとつでした。大型のサイズ造形は、熱応力や、低速度、高いパーツ費、そして失敗のリスクなど、たくさんの基本的な課題にぶつかることが多く、3Dプリンティングにおける長年の複雑な問題となっています。

しかし、業界では、この分野でのより良い解決策を提供しようと試みていることは明らかです。展示会では、ほぼすべてのFFF製造業者が40cm以上のシステムを紹介しているように見えました。ここ最近の真空吸着や加熱チャンバーなどの特許権期間の満了により、メーカーはこれらを各自のFFFに取り入れ始めているため、FFFシステムのパフォーマンス向上につながることが期待されます。

Concept Laserなどの粉末積層方式のメーカーは、これまで粉末積層方式では不可能と思われていたような大型パーツの造形を可能にする分割型ビルドチャンバーを展示していました。また、EoSの子会社は、カスタムしたEoSプリンターで航空宇宙業界向けの見事な1m以上のパーツを紹介していました。

その他の企業は既存テクノロジーの進化を進めていました。例えばSpee3Dは、1mサイズのコールドスプレーシステムを展示していました。コールドスプレーガン製造の先駆者とも話しましたが、サイズとスピードの両方が彼らの焦点である印象を受けました。また、彼らのシステムで作成したフライパンは見事な出来でした。

 

 

第2のシステム

今回の展示会では、第2のシステムとも呼べるものが多く見られました。3Dプリンターそのものではないものの、3Dプリンティングをプロトタイプから製造のテクノロジーに変えるシステムとして、3Dプリント部品のパッケージングソリューションの自動化や、表面を滑らかにする後処理装置、3Dプリントのパーツの色付けやコーティングなどが、昨年に比べて拡大し大きな存在感を見せつけていました。これは、3Dプリンターで作成した生の部品を、お客様へ提供できるレベルの部品へ変えることに焦点が置かれているからだと思います。例えば、自作の材料をプロレベルで作成し試したとしても、工業用規模にするには難しいという問題がよくありますが、3devoは配合可能で生産化を可能にする優れたデスクトップフィラメントを展示していました。


  

AMLTechnologiesはポリアミド用の水密シェルを作り出す化学研磨液を展示していました。これは、使いやすく、長期間丈夫なパーツに保つことを保証する重要なテクノロジーです。 

 


全てをリストするには数が多すぎますが、自動粉末処理などの挑戦に対処し、3Dプリンティング全体のプロセスチェーンに焦点を当て始めている企業が増えている傾向にあることは明らかでした。

 

 

ソフトウェアについては、FrustumnTopologyが、とても見事なDFAM(Design For Additive Manufacturing、3Dプリント成形を前提とした特殊設計)ソフトウェアを展示していました。特に、もっと古く確立されたソフトウェア会社ではDFAM用に上手く成し得なかったような、彼らのカーネル統合と設計には驚かされました。その他にも複数の見事な3Dプリンティングソフトウェアの生産への解決策が示されていました。FabControl3yourmindなどの会社は、ハードウェアコントロールの統合システムを見せている一方で、TrinckleTimtakのような会社はともにマスカスタマイゼーションへの解決策を提示していました。

 

 

 

昨年、ほぼ全ての3Dプリンティング分野において大きな技術的利得があったにもかかわらず、会場の雰囲気はそれほどハツラツとしたものではありませんでした。事実、特に業界リーダー達からは、大きな発表の陰に隠れた倦怠感が見られました。正確な原因が何かというのは難しいものの、技術的利得にも関わらず、エンドユーザーからの採用ペースが落ちているため、業界の人々は3Dプリンティングが問題のない解決策となっているのではないかと不安になる感覚があったと思います。何人かの日本の出展者とも話しましたが、彼らはハッキリと日本国内のマーケットは追及するに値しないと言っていました。彼らの悲観さと致命的な態度は伝染しかねませんが、彼らは頭の中の問題のみに対処することに焦点をおいてきた傾向があります。今年最もポジティブに見える企業は、明らかにソフトウェアと設計方法を3Dプリンティング過程に統合させることに焦点を置いていました。

また、今年は、化学メーカーが3Dプリンティング業界に参入し始めているという明白な動向がありました。三菱ケミカルBASF三井化学Perstompやさらに多くの企業がダイレクトに3Dプリンティング企業を買収、または事業合併を進めています。この種の企業の複数社と話しましたが、これらの企業のマネジメントでは、3Dプリンティングが次の製造テクノロジーであり、既存の製造業者への主な材料サプライヤーになると見越して、将来実がなることを信じこの業界に種を植え始めているという印象を受けました。私はこれらのパートナーシップはいずれこの業界に重大な弱みを生み出し、ポリマーと金属の両方の3Dプリンティング用材料を作り出せる科学者の不足につながるのではないかと思います。この傾向が続くことで、あと何年かで全体的により良いマシンが生まれる結果になるのではないかと私は期待します。顕著な例としては、BASFがBigrepの株式を取得しており、Bigrepが、材料は「プリンティングの大きな問題」を解決する鍵になると気づいていることを示しているということが、今年の展示で明らかでした。




これらを踏まえ、3Dプリンティングに興味のある日本の企業は、この展示会から何が得られるでしょうか?私たちはこの質問に対し、以下のように考えます。

  • 解決策は存在します。でも、その解決策自体よりも、実際にどのようにそれを適用するかの方が重要な場合が多いです。
  • 将来について考えましょう。3Dプリンティングは変化が速く、今後の傾向を真剣に考えなければ、間違った方向へ向かってしまい、大きなビジネスチャンスを逃してしまうリスクにつながります。
  • もしあなたの3Dプリンティングチーム内で設計やソフトウェアの経験がないのであれば、それができる人を雇うか、DFAMを提供する企業と契約を結びましょう。今回の展示会では、そのリンクが上手くいってる企業とそうでない企業で明暗が分かれていました。
  • マシンのスペックに焦点を置くのではなく、その応用方法に焦点を置きましょう。あまりにも多くのメーカーがマシンのスペックを増やすことに重視するあまり、使いやすさや信頼性など、もっと肝心なことをないがしろにしてしまっています。
  • 今日の3Dプリンティングは、プロトタイプから製造へのテクノロジーに変化を遂げています。しかし、既にこれを取り入れている製造業者は、それをあまり公にしない方が競争において有利であると考えているようです。
  • 数年前には一握りの人数であった企業も、どんどん成長し今では何百もの人々となっている優れた企業がたくさんあります。一方で、一部の大手は、規模を小さくし戦略を変更しています。もし、3Dプリンティングにおいて「信頼できる」企業を探しているのであれば、速度よりも加速度を基準にした方が良いでしょう。

 

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