ケーススタディ:Markforged社3Dプリンターでゴーカートを製作

ケーススタディ:Markforged社3Dプリンターでゴーカートを製作

今回は、Markforged社の3Dプリンターで製作した、ゴーカートについてご紹介いたします。

 

強力なスティアリング・ナックルを3Dプリンティング、デトロイトで勝利


軽くて安価なゴーカートをデザイン、スティアリング・ナックルをMark Oneでお手軽に作成

コスト 時間
マシン・ショップ / アルミニウム $1,246.21 3~5日+発送
Markforgedでプリント $97.16 53.5時間

3、2、1・・・ゴー!

タイ・ファイター(スター・ウォーズの宇宙戦闘機)、段ボールのジープ、そして現実のマリオ・カートらが、デトロイト・メーカー・フェア2015の「パワーレーシングシリーズ / ロードコース」のスタート地点から押し合いへし合いダッシュでスタートしていく風景を想像して下さい。これらのゴーカートは全てDIY愛好家達の創造性、革新性、そして何よりオタクさの集大成であり、皆輝かしい勝利をもぎ取ろうと張り切っています。そんな一人にチャールズ・グアン(Charles Guan)氏があり、MITで機械工学の学士を取得しています。氏のゴーカートのレシピとしては「チビミク・バン」(初音ミクのチビ版)があり、1986~1994年の三菱デリカを模倣するようにデザインされていて、グアン氏によると「お互い何ら関係のない商業・工業部材を混ぜこぜに組み合わせて」造っている、とのことです。ラジコン・ボートのインランナー・モーターや研削盤のギアボックスなどが組み込まれているようです。前年のレース向けに組み立てらたこのチビミク・バンには、最近重要なアップグレードがありました。Markforged社の3Dプリンターを用いて改造することにより、勝利をもぎ取ることが出来たのです。

Chibimiku van
写真1: チビミク・バン、3Dプリンティングで繊維補強された部品によるアップグレードが必要なゴーカート

自動車のサスペンション(懸垂装置)で不可欠な部品の一つに「スティアリング・ナックル」があります。自動車のヨー(回転・傾き)をスティアリング・メカニズム(操作メカニズム)につなげるリンク・システムの一部を指します。ナックル自体製造するのにかなり複雑な部品であり、道路からの抵抗、タイヤの動き、ドライバー自身の体重等全方向から強い圧力が掛かります。グアン氏は、従来の重く・安全装置付き・金属アセンブリーのスティアリング・メカニズムのデザインを、何か軽く簡単に製造出来てかつ頑丈なもので置き換えたいと思っていました。


勝つためのデザイン

重量を減らし作成過程をシンプルにするという点では、3Dプリンティングこそ迅速なプロトタイピングのインテラクティブ・デザインフローおよび安価ながら精緻で付加的な(3Dプリンティングのスプレーで自在に上塗りしていくような)製造工程を兼ね備えていると言えます。これにより、精緻かつ精密な3Dの部品が簡単に作れます。従来的なマシン・ショップでは何時間も汗水流して手作業でやらなくてはならない(しかも成功する保証の無い)工程です。付加的製造工程により、グアン氏はスティアリング・メカニズムの重量や不要な部分を大幅に減らすことに成功しました。一方多くの3Dプリティングのソリューションでは、スティアリング・ナックルに掛かる圧力を支えるには弱すぎる・もろすぎる部品しか造れないというのが現状です。


金属から部品を機械加工あるいは3Dプリンティングする場合、部品の材料的特質としては強くなりますが、ほぼ等方性(ある対象の性質や分布が方向に依存しない)になってしまします。複合材料を用いることで、部品の特定の方向に対し材料特性を最適化するよう繊維を調整出来ます。しかしながら、一般に複合材料を準備し、作り完成させるのには何時間も要します。ナイロンおよび合成繊維のオプションがある「Mark One」により、グアン氏はデトロイト・メーカー・フェアでのチビミク・バンのレースのためのコンパクトで軽量なスティアリング・アセンブリーをデザインするのに必要な部品強度と製造性を手にしました。


グランプリ

グアン氏はMarkforged社のプリンティングの異方性(ある対象の性質や分布が方向に依存しないする)を利用した部品をデザインし、ナイロンと繊維ガラスでプリントしました。ナイロンのレイヤーが柔軟性をもたらし、一方繊維ガラスが吹きつけられるレイヤーに対し強度をもたらします。「新しいスティアリング・ナックルは、平らにプリントされ、繊維によるC型のセクションが軸スタブに載るようになっています」とグアン氏は解説します。ナックル(以下のCAD設計図においてライトピンクで示されています)は「C」の部分の表面上に繊維の塊りが吹きつけられ、その部分の強度を最大化し、同部品を全ての方向に対し強く、軽くて柔軟にします。このナックルは一つの部品としてもプリント可能でしたが、ここでは三つの部品に分けてまずプリントされており、各パートの繊維の方向性により強さと柔軟性を最適化するようになっています。他の二つの部品、ブレーキ・キャリパー(紫で示されています)とスティアリング・フォロアー・リンク(赤で示されています)も同様部品の機能を向上させるために繊維の方向性を利用するようデザインされています。グアン氏のこのような改善策により全体の重量は実に40%も削減され、より信頼性の高いスティアリング・アセンブリーが実現されました。

new steering assembly
写真2: 新しいスティアリング・アセンブリーのコンピューターモデル: ナックル(ライトピンク) / スティアリング・フォロアー(赤)、ブレーキ・キャリパー・マウント(紫)、スティアリング・アーム(ダークブルー)

Mark Oneでこれらの部品をプリントするにはおよそ24時間掛かりました。その後グアン氏は自身の新しいデザインを組み立てテストし、チビミク・バン上のフレーム上で揺れるこれらの部品が氏の必要と認めるだけ圧力に耐えられるか試しました。氏が言うにはこのデザインの最初のラウンドで、「キングピン・ブラケットのバージョン1と言ったものに対し部品がフレームと接続される繊維の部分をバックル(留め)させました。大丈夫でした・・・」。このバックルは車輪を少しだけ歪めただけでした。同デザインをもう少し修正し、再度テストに当たります。

full steering assembly with newly 3d printed steering knuckle
写真3: 新しい3Dプリンティングによるスティアリング・ナックルを搭載したフルバージョンのスティアリング・アセンブリー

テスト完了後、グアン氏はこう解説してくれました。「うまく生き残れた(使えるモノになった)理由の一つとして、ナイロンが非常に柔軟な物質だということがあります。かなりのショックを吸収してくれます。非常に激しく運転しても、ブラケット全体は少ししかぶれません。実験で約40ポンドの圧力を掛け歪めてみましたが、アセンブリーの方は吸収して耐えてくれています」。ナイロンおよび炭素ガラスの部品のこのような柔軟性により、スティアリング・アセンブリーは非常に強い衝撃も吸収することが出来、軸スタブの表面にあるおよそ5 N-m(ナノメートル)のトルクも容易に扱うことが出来るようになりました。デザインに自信を得たグアン氏は、一位を求めて疾走します。


「練習の際、幾度かこいつをフル・スピードでカーブから逸脱させました。部品が壊れるかどうか見るためです・・・。デトロイトの本番では故障もなく、レースでクレージーに走らせました」

Chibi miku van
写真4: デトロイト・メーカー・フェアでチビミク・バンに乗るチャールズ・グアン氏

 

Markforged社の商品は、正規代理店のDDDJapan.comから。

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