3DPC「Markforged Mark Twoマニュアル」:成形手順 - Eiger上での設定 Part 2

3DPC「Markforged Mark Twoマニュアル」:成形手順 - Eiger上での設定 Part 2

DDDJapan.comの運営会社である、株式会社3D Printing Corporationが執筆した「Markforged Mark Twoマニュアル」から一部抜粋した情報の連載です。

※本記事の掲載内容は本ブログ記事公開時のものです。最新版のご注文はこちら

 

II. 成形手順

II.b. Eiger上での設定

II.b.iv. 設定時のノウハウ

Eiger上の各種パラメータの設定時ノウハウを列挙します.

1. Scaleに関するノウハウ

図 II.21 繊維配置に失敗したときに表示される警告

設計値が拘束条件を満たさない場合,save後に何かしらのErrorが表示されます.図 II.21は繊維配置に失敗した時画面左側に表示されるErrorです.Scaleの設定は,その時にどの程度数字が足りないかを調べるために利用すると便利です(具体的な利用法はII.a.iii.の条件3のノートを参照).また,Inventorを使用してSTLデータを作成した場合Scaleを10倍にしないと設定したサイズで出力できないという事例が報告されています.

2. Rotateに関するノウハウ

FRP の配置はスライス後の断面形状に依存します.そのため,適切な角度に成形物を回転させる必要があります.例えば図 II.22のように同じCADデータでも,角度によって繊維配置が可能であったり,そうでなかったりします.これは,繊維が面外方向に分割された層ごとに配置されることと, 繊維配置の拘束条件によります.Mark Oneに比べMark Twoでは拘束条件が緩和されるため,考慮するべき主な内容は繊維方向になります.

図 II.22 構造の配置する角度によって繊維配置は全く異なる

図 II.22 構造の配置する角度によって繊維配置は全く異なる

3. Plastic/Fiber Materialに関するノウハウ

Mark Twoでは2種類の母材樹脂,4種類のFRP材料を使用可能です.FRPを印刷する際は,材料ごとに1層の厚さと繊維束の幅が異なります.一方で,Mark Twoは材料の種類を判別するフィードバック機能を有していません.

図 II.23 Mark TwoにおけるCF/GFのハイブリッドプリント

図 II.23 Mark TwoにおけるCF/GFのハイブリッドプリント

4. Fiber Fill Typeに関するノウハウ

Carbon Fiberの場合,かつてのパッチではFiber Fill TypeはConcentric Fiberに限られていました.理由はCarbon Fiberの反発力が強く曲率の高い配置をすると繊維が折れてしまい設計通りの印刷ができないことがあったためです.ハード的にこの問題は特に進展していないので,Carbon FiberをIsotropic Fiberで繊維配置する場合,この問題が顕在化しうることを考慮する必要があります.

5. Concentric Fiber Rings に関するノウハウ

いちいち数字を設定するのが面倒だという場合には,50くらいに設定すれば,最大の繊維配置数となります.

6. Advanced Settingsに関するノウハウ

6.1. Use Supportsに関するノウハウ

中空部を持つCAD データでは,Onにしないと警告がでます.それでもOffにしてプリントすると,繊維配置に失敗したりします.基本的にONにしておいて問題ありません.中空部にSupport材が補助する条件についてはII.a.iiiの条件 8:サポート材が生成される条件を参照.条件では垂直角30°以上の表面にSupport材が補足されるので,サポート材が入らないような構造を設計すれば,ポストプロセス不要の印刷が可能となります.図II.24は全ての面が垂直角30°以下になるよう設計した中空のねじれ構造であり,サポート材なしで精度よく印刷することができます.

図 II.24 Eigerのスライスシステムでサポート材なしで印刷可能な3D構造の例

図 II.24 Eigerのスライスシステムでサポート材なしで印刷可能な3D構造の例

6.2. Expand Thin Featuresに関するノウハウ

Expand Thin Featuresは細かい形状をプリントするための設定です.その実態は,CAD データからプリント経路を作るためのアルゴリズムの変更です.大まかに説明すると,通常時は「切り捨て」,Expand Thin Features ON時には「切り上げ」で配置しています.概要を右図に示します.右図のようにExpand Thin FeaturesをONにしたときのデー タは1回り大きくなります.必ずしも設計したものと同じ大きさにならないことに注意してください.切り捨てと切り上げの元になるものは整数でなく,材料1本分の幅である点にも注意が必要です.

 

6.3. Fill Patternに関するノウハウ

それぞれ材料を使う量が異なるだけでなく,強度でも差があります.Triangular Fillは等方性で面内方向の変形に強く剛性が高いです.Hexagonal Fillは等方性で面外の曲げに強いです.Rectangular Fillは弱い異方性を持ち圧縮に強いです.ただし最も時間がかかります.

6.4. Fill Densityに関するノウハウ

Fill Densityは高いほど良いわけではなく,印刷時間削減のために適度な密度にすることが望ましいです.特に設定の必要がない場合はデフォルトの50%で問題ありません.FRPを豊富に含む成形物では強度の大半をFRPが支持するため,密度による強度変化がほとんどありません.ただし,密度が低すぎると,Hexagonal FillやTriangular Fillでは面圧に対する剛性が大きく低下します.

6.5. Roof & Floor Layersに関するノウハウ

成形物のFRP含有率に直結するパラメータの1つ.ここで設定した範囲には,他のいかなる操作をしてもFRPは積層されません.例えば,6層積層の成形物でこのパラメータを3層と設定すると,上下3層ずつすなわち6層すべてが樹脂層となり,FRPを配置することができません.また,この設定値を0にすることはできず, 一方で,ハード的に天井と床を取り除く方法はあります.天井は印刷の途中で印刷を一時停止し母材樹脂をMark Twoから排除することで簡単に印刷しないようにすることができます.また,成形物内部で全てのFRP配置部分が隣接して1つの構造を成している場合,床の印刷直後に母材樹脂をアンロードすることで,母材樹脂を積層せずにFRPのみを出力することができます.床は繊維配置するために必要であるが,2.A.b’の条件2の後半に記載している様に,印刷後に取り外し易くすることはできます.これらを組み合わせることで,FRPのみの構造を出力することも可能です.

6.6. Wall Layersに関するノウハウ

Wall Layersは1層あたり0.125mmで一定です.樹脂のみの場合で1層あたりの厚さを変更し た場合にも変化しません.Wall layersは0に設定できない点です.この項目の3.や6.5に載っている特殊な方法を使わない限り,壁は必ず印刷しなければなりません.

7. Editing Layersに関するノウハウ

層ごとに上記の設定を変更することができます.Roof & Floor Layersで樹脂層と設定された層にはFRPを配置することができません.また,中間の層であっても,天井や床となる部分の隣接する数層はRectangular Fillで樹脂が充填されます.6.5.に示されているような方法などで,複数の印刷を1つの構造にまとめたい場合には,Pause After Layerが活躍します.

8. Start Rotation Percentに関するノウハウ

繊維のスタート位置を任意に(ただし離散的な値の範囲で)変更することができます.注意すべき点は,スタート位置によって繊維配置量が変化する場合があるという点です.図II.25はその1例です.黄色で囲った部分に繊維が配置されるかどうかがこのパラメータにより変化します.また,Start Rotation Percentの設定をうまく利用することで,II.a.iii.の条件 6.2.のように一筆書き 配置で必然的に発生する繊維の不連続部を排除する方法もあります.

図 II.25 開始点を変えると内部の繊維配置も変化する

図 II.25 開始点を変えると内部の繊維配置も変化する

また,複数の閉ループを持つ構造ではいくつかの閉ループに繊維が配置されないという事態も起こりうる(図 II.26)ので,その場合はStart Rotation Percentをうまく設定するか,設計したCAD データ自体を見直す必要があります.図 II.26は同じ構造に異なるStart Rotation Percentを設定したときの比較図です.

図 II.26 開始点の位置が悪いと繊維配置されない部分ができることがある

図 II.26 開始点の位置が悪いと繊維配置されない部分ができることがある

 

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