「3Dプリントの精度は高いほど良い」は本当か?

「3Dプリントの精度は高いほど良い」は本当か?

今回は短編として、誤解されがちな3Dプリンターの「精度」について取り上げたいと思います。

 

【こんな人にオススメ】

  • 新しく3Dプリンターを買いたいけど何を基準にするのが1番いいか分からない方
  • 3Dプリンターの精度が高いほど良いと思っている方
  • 自分のもつ3Dプリンターの精度に不満がある方

 

目次

  1. 3Dプリンターの「精度」
  2. 精度がいいプリンターほど良い?印刷速度と「精度」のトレードオフ
  3. トレードオフを超えたパーツの製造方法
  4. 後加工との組み合わせ

 

1. 3Dプリンターの「精度」

新しい3Dプリンターを買うとき、皆さん何を基準に選んでいますか?
使える材料の種類、使いやすさ、安全性、騒音なども気になるところですが、やはり、簡単に比較できる数値に目が行ってしまいますよね。特に仕事で扱う場合には、使いやすさや安全性など、説明が難しく曖昧な性能より、数値で比較した方が説得力も増すので、なおさら重要なポイントです。3Dプリンターで重要な数値といえば、プリンターの大きさ、造形サイズ、電源要求、そして今回のメインである精度でしょう。

一般に、産業界で精度というと、公差や表面粗度などに対して使われる言葉で、設計寸法に対する誤差の大きさを測る指標として使われています。

3Dプリント界で言われている精度は、どうでしょう?

 

例)
プリンターA:積層ピッチ 50μm
プリンターB:積層ピッチ 100μm

 

ここで言っている「精度」は、通常の産業界で言えば、解像度そのものです。

解像度とは、レゴブロックに例えると、ブロックの大きさ、あるいは1マスの大きさを指します。当然ですが、ブロックより小さいものを作ることはできません。
3Dプリントにおける解像度も全く同じです。レゴブロックのように小さな点や細かい線、薄い層を積み重ねて行き、立体を作ります。そのため、解像度を超える細かい形状を表現することはできません。一般にいう精度とは別物なのです。

実際の3Dプリンターの精度は、別の要因により決定されます。
例えば、FFF方式(Fused Filament Fabrication/熱溶解積層方式)では、印刷経路、温度管理方法、樹脂の熱収縮率が精度の主な決定要因となります。

 

 

この写真は「精度」が良いプリンターで造形したものです。細いノズル径、細かい積層ピッチで作った造形物は確かに解像度はいいですが、これはあなたの求める精度の高いプリントでしょうか?
この精度低下がなぜ起こってしまうかは別の記事でお話します。


2. 精度がいいプリンターほど良い?印刷速度と「精度」のトレードオフ

3Dプリントでは、必ずしも「精度」が良いプリンターほど良いわけではないことに注意しましょう。

「精度」すなわち解像度が高いということは、より細かい出力で3Dプリントするということであり、例えば同じプリンターでも、層の厚さを2倍細かくして印刷すると、印刷時間は2倍かかることになってしまいます。必要以上に「精度」が高いと、その分、印刷速度を損なってしまうということです。
そのため、必ずしも「精度」が最高のプリンターを選ぶのではなく、運用時に想定される製造量、適度な「精度」、本来の意味の精度を満足できるか、プリンターの実操作時間などを考慮して選択することが、より効果的な3Dプリントの活用に繋がると言えます。

 

3. トレードオフを超えたパーツの製造方法

技術の発達に伴って「精度」と製造速度のトレードオフを打ち破る造形方式のプリンターも出始めています。
例えば、DLP(デジタル・ライト・プロセッシング)方式は、従来のほとんどのプリンターのように線で印刷するものではなく、面で印刷していくプリンターで、製造速度は高さにのみ依存します。そのため、「精度」が高く、速い印刷が可能です。 


DLP方式プリンターの例

4. 後加工との組み合わせ

また、トレードオフを破るもう一つの方法として、3Dプリントと切削加工との組み合わせも注目されています。

この方法は、3Dプリント単体で精度を出すことを放棄して、3Dプリントの製造工程を最小化するために「精度」を最小化し、プリントの途中あるいはプリント後に切削することで必要な精度を出す方法です。ほとんどの製造物がそうであるように、3Dプリントもまた、他の手法との組み合わせにより価値が増す好例で、既にボーイング社で航空機1機あたり約2億円のコストダウンに成功するなど、成果を上げています。



さて、いかがでしたか?
3Dプリントは新しい技術で、どうしても目に見える数字に判断を頼りがちですが、頼る数字の種類は選ぶべきです。また、3Dプリンターは万能の機器と誤解されがちですが、3Dプリントのみでの目的達成は回り道になることが少なくありません。適切な場面、適切な機器を選んでより効果的な3Dプリント運用を実現しましょう!


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ではまた!

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