3Dプリンターの造形方式・素材の種類は? 選ぶときのポイント

3Dプリンターの造形方式・素材の種類は? 選ぶときのポイント

一言で3Dプリンターといっても、さまざまな造形方式や素材の種類が存在します。基本的には一層ずつ硬化させて積み重ねていくような積層造形を行いますが、それぞれ造形できる形状や細かさ、得意な活用分野が異なるため、用途に合わせて適切に選択しなくてはなりません。そこで今回は、代表的な造形方式と素材についてご紹介いたします。


3Dプリンターの造形方式の種類

熱溶解積層方式

熱溶解積層方式は、熱溶解積層法とも呼ばれ、樹脂などの材料を溶解しながら積み上げていくことで形を出力する3Dプリンターです。FFF(Fused Filament Fabrication)やFDM(Fused Deposition Modeling)などと呼ばれることがあります。積み木のように材料を積み重ねることで形を出力するため、オーバーハングと呼ばれる上部が張り出した形を出力する場合は、サポート材と呼ばれる足場が作成される特徴があります。サポート材は後処理として、手作業で簡単に除去することが可能です。熱溶解積層方式は、構造がシンプルで取り扱える材料も幅広いため、多くのメーカーがさまざまな製品を幅広い価格帯で展開しています。製造業向けのFFF方式3Dプリンターであれば、直接最終部品として活用できるような高強度のパーツを造形することもできます。さまざまな材料を利用したい方々におすすめの方式です。

※FDM方式は1988年にStratasys社が特許を取得した造形方式です。

関連記事:「3Dプリンターで用いるフィラメントとは? 種類別の特徴と用途」

光造形方式

光造形方式は、光造形法とも呼ばれ、レジンと呼ばれる液体状の材料に、UVレーザーを照射することで形を出力する3Dプリンターです。材料となるレジンは、光で硬化する樹脂なので、主に光硬化性樹脂と呼ばれます。SLA(Selective Lithography Apparatus)やDLP(Degital Light Processing)などと呼ばれる方式があります。液体状の樹脂とUVレーザーによる優れた解像度で形を出力するため、複雑で精密な形状を高精度で出力することが可能です。ただし、滑らかな表面を実現するためには複数の後工程や後加工が必要になります。また、レジンは透明度の高いものやゴムライクな特性を示すもの、さらにはキャスト成形の型に使用可能な材料など幅広い材料特性に対応が可能です。ただし、光硬化樹脂は脆く、強度が必要な機能パーツへの利用は不向きです。SLA方式は、微細で高精細な形を出力したい方々におすすめの方式です。


関連記事:「光造形方式3Dプリンターの特徴とは? 製品を選ぶときのポイント」

粉末焼結方式

粉末焼結方式は、粉末状の材料にレーザー光線を照射して焼結させることで形を出力する3Dプリンターです。SLS(Selective Laser Sintering)方式と呼ばれることがあります。光造形方式と同程度の高繊細さを備えながら、比較的に強度が高い作品を造形することが可能です。扱える材料は、ナイロン樹脂のほかに、金属も利用可能です。最近ではロケットのエンジンパーツなど、高精密さ、強度の両方が必要なパーツに利用されています。粉末から造形するので、造形物の表面はざらざらしているため、表面の滑らかさが必要な場合は向いていません。SLS方式は、強度と複雑さを備えたパーツの出力におすすめの方式です。

 関連記事:「SLS方式3Dプリンターとは?」

インクジェット方式

インクジェット方式は、材料を噴出し紫外線で硬化させながら形を出力する3Dプリンターです。2Dのインクジェット印刷と同じように、様々な色を使って高解像度の作品を出力することが可能です。きめ細かく、滑らかな表面に仕上げることができます。しかし、強度は低いため、荷重がかかるようなパーツへの利用はおすすめできません。また紫外線で劣化するため、出力後の保管方法は注意が必要です。フィギュアなど、色合いと精密さが重要な作品の出力におすすめの方式です。


3Dプリンターで出力できる素材の種類

樹脂材料

樹脂材料は、最も一般的に使用される3Dプリンタの材料です。熱溶融積層方式では、ABSやPLA、ナイロンなどの熱を加えると柔らかくなる熱可塑性プラスチックが利用可能です。熱可塑性樹脂は、硬いものや柔らかいもの、強度が高いものや低いものなど様々な種類があり、用途に合わせて選択する必要があります。ただし、熱可塑性プラスチックの種類によって成形温度が異なるため、ご利用されている3Dプリンターの最大加熱温度を確認の上、材料を選定する必要があります。特に高い強度を発揮する、PEEL(ポリエーテルエーテルケトン)やPEI(ポリイミド)を使用したい場合、非常に高い温度(約400度)で成形する必要があるため、ご利用いただける製品が限られてきます。

光造形方式ではエポキシ系の光硬化型樹脂が利用可能です。様々な透明度やゴムのような材料など幅広い特性を備えています。ただし造形物は太陽光などの紫外線により劣化する可能性があるため保管状態に注意が必要です。

金属材料

金属材料は、主に産業用途で頻繁に使用される3Dプリンターの材料です。ステンレスなどの標準的な鋼材料や、銅などの非鉄金属、チタンなどの生体適応材料などが利用可能です。粉末焼結方式で造形することが一般的ですが、DDDJapan.comの提供するMarkforged社の製品を使用すれば、熱溶解積層方式で手軽に出力することも可能です。金属材料は、樹脂材料と比べてはるかに優れた耐熱性と強度を実現することが可能なため、高い性能が要求されるパーツの造形におすすめです。また銅などの熱伝導が優れた材料は、ヒートシンクのような放熱部品への活用も可能です。

関連記事:「金属用3Dプリンターでできることは? 従来の金属加工との違い」

関連記事:「Markforged Metal Xシステムで銅のヒートシンクを作ってみた!」

複合材料

複合材料は、樹脂材料に強化剤と呼ばれる繊維質の材料を混ぜ合わせることで、軽量性と高強度を両立した材料です。複合材料は、熱溶融積層方式と相性の良い材料です。最も代表的な複合材料は、ナイロン樹脂に細かいカーボン繊維を複合した材料です。カーボン繊維とナイロン樹脂の複合材料フィラメントは、多くの製品が販売されており、一般的な熱溶融積層方式の3Dプリンターで利用可能です。軽量化で強度が必要なパーツの造形におすすめです。

さらに高い強度を有する複合材料として、連続繊維複合材料があげられます。カーボン繊維、アラミド繊維、あるいはガラス繊維などの連続繊維がナイロン樹脂などに複合された材料です。極めて高い強度を軽量のまま達成することが可能です。ただし、連続繊維複合材料を造形できる3Dプリンターの種類は非常に限られています。航空機、宇宙、自動車などの産業用途で軽量かつ高強度のパーツ造形におすすめです。

 

3Dプリンターの造形方式・素材の種類を決めるときのポイント

1. 解決したい課題は何か?

 これまで紹介してきた通り、3Dプリンターの造形方式・素材に万能なものはなく、それぞれ一長一短の性質を持ちます。また、求める性能や品質によって製品の価格や規模が大きく異なってきます。したがって、まず何よりも大切なのは、“3Dプリンターの導入によって解決される課題は何か”を明確にすることです。DDDJapan.comでは様々な事例を紹介しておりますが、ほんの一例に過ぎません。3Dプリンターで解決できる課題はまだまだ計り知れません。もし事業の抱える課題の解決に3Dプリンターの導入をお考えの場合は、記事の末尾の問い合わせフォームからご相談ください。解決すべき課題を明確にしたら、いよいよ造形方式と素材の選定に入っていきます。

関連記事:「3Dプリンターを活用するメリットは?使用事例や使うためのポイント」


2. 造形物の滑らかさが大切か、強度が大切か?

 課題が明確になれば、優先度を付けられるようになります。解決のために重要なのは、造形物の滑らかさと強度、どちらでしょうか。もし滑らかさが重要であれば、造形方式は光造形方式やインクジェット方式を、素材は樹脂材料をおすすめします。また強度が重要である場合は造形方式は熱溶融積層方式や粉末焼結方式を、素材は金属や複合材料をおすすめします。

 ただし、滑らかさと強度、どちらも欠かせない場合もあることでしょう。その場合は、造形後の後処理によって対応範囲を広げることができます。DDDJapan.comが提供するPostProの後処理を実施すれば、熱溶融方式や粉末焼結方式で出力した樹脂材料でも、優れた滑らかさを達成可能です。


3. 形状の高繊細さが大切か、造形速度が大切か?

 次に検討するべきなのは、形状の繊細さと製造効率の兼ね合いです。当然のことながら、より細かく造形するほど、ひとつあたりや大きさあたりの造形速度は遅くなってしまいます。繊細な形状を高精密に出力することを優先したい場合、造形方式は光造形方式やインクジェット方式、あるいは粉末焼結方式がおすすめです。一方で、造形速度など生産性を重要視する場合は、熱溶融積層方式をおすすめします。


4. 造形物の使用環境は?

 造形方式が決まったら、素材の検討に入ります。素材の選定において、想定される造形物の使用環境は特に重要です。産業用部品に3Dプリンターを用いる場合は、過酷な条件下に造形物が置かれることを考慮しなくてはなりません。例えばもし太陽光に長時間晒される場合、光硬化系樹脂ではなく熱可塑性プラスチックや金属の使用をおすすめします。もし造形物が樹脂では耐えられないような高熱にさらされる場合、樹脂材料や複合材料ではなく、金属材料を使用する必要があります。また低温化でも樹脂材料は劣化する恐れがあるため、金属材料をおすすめいたします。


5. 色々な材料を使用するか?

 上記までで大まかな方針は定まると思われますが、もし様々な種類の材料を使用する予定がある場合、熱溶融積層方式の採用をおすすめします。市販されているフィラメントの種類が非常に多く、さらにオリジナルでフィラメントを製造することも可能なためです。実験や試作品用途など、幅広く素材を試してみたい場合においては、心強い味方になるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。3Dプリンターの造形方式と素材、それらを選定する際のポイントについて紹介いたしました。3Dプリンターの造形方式と素材の組み合わせは無数にあるため、一度にすべては紹介しきれませんが、一方でそれは3Dプリンティング技術が大きな可能性を秘めていることも意味しています。適切に造形方式や素材を選定することで、皆様の課題を正しく解決し、事業の効率化や新規開拓を実現できることでしょう。

貴社に合った3Dプリンターの造形方式・素材の選定や運用、課題解決の相談はぜひDDDJapan.comへお気軽にご連絡ください。


お問い合わせフォーム
※クリックでフォームが表示されます。お問い合わせはこちらから。
前の記事 3Dプリンターで用いるフィラメントとは?種類別の特徴と用途