冶具、固定具、グリップの立体造形

カスタマイズの冶具や固定具、グリップを
これまでの1/10のコストと時間で製造する方法

3D造形は冶具や固定具、グリップなどのツールを製作するための一般的なメソッドになりつつあります。

どのような費用対効果が望めるのか、一緒に学びませんか?

目次

1.最初に

2.冶具、固定具、グリップとは?

3.冶具、固定具、グリップのメリット

4.3D造形技術を用いることのメリット

5.一般的な応用例とソリューション

6.ケーススタディ:ディクソンバルブのロボティクグリップ

最初に

製造業界で常に課題となる生産性の向上とコストの削減をクリアする上で、冶具や固定具、グリップなどのリーンな製造技術を生産ラインでいかに活用するかが鍵となります。

AM(付加製造:3D造形)手法がパーツ製造において実現可能な高度なカスタマイズ性と複雑さ、スピードと精度は冶具や固定具、グリップを生産する上で理想的なソリューションと言えるでしょう。

このページでは冶具や固定具、グリップを3D造形技術により製造するメリットと、現在の一般的な応用例について話します。

さらに3D造形技術による製造を前提に置いた際にエンジニアが知っておくべき冶具や固定具、グリップの設計ルールについてもいくつか紹介します。

“射出成形部品(濃い灰色)をホールドする3D造形アセンブリ冶具(白)
(Stratasysの画像提供)”

冶具、固定具、グリップとは?

冶具、固定具およびグリップは製造の多くの面において部品の機械加工、位置決めおよび組立てを補助するために使用される加工物です。

冶具、固定具およびグリップは様々な材質(一般的にはスチールまたはアルミニウム)から作られ、パーツが所定位置に正確に配置されるように高い耐久性をでCNC加工されます。 * CNC machined to a high tolerance

冶具と固定具には部品を所定の位置に固定するためのアタッチメントも含まれることもあります。

冶具、固定具およびグリップは高度なカスタマイズと成形精度が必要とされるため、製作には通常長いリードタイムが伴います。

冶具

工作物を定位置に保持し、切削工具をガイドするために使用します(例えばガイドドリルビットを正しい位置に導くためのドリル治具)。冶具は通常機械に取り付けられておらず、容易に操作して切削工具と整列させることができるので オペレーターに依存せず一定の成形精度でパーツを加工することができます。

冶具は通常ツールを特定の場所に誘導する必要があるため、非常に硬い材質で作られています。


固定具

加工や組立が行われるときに工作物を確実に位置決めし、保持しサポートします(シンプルな固定具としては万力があります)。マシンニングフィクスチャーは一般に部品の機械加工時受ける大きな負荷に耐えるように機械に固定されます。成形精度はオペレーターや作業者に依存します。


グリップ

工作物に接触し通常、パーツの移動や方向付けに使用されるオートメーションプロセスの一部です。 多くの場合パーツのジオメトリに合わせてカスタム設計されています。

冶具、固定具、グリップのメリット

・生産性の向上

・廃棄物の削減

・精度と再現性の確保

・労働者の安全性の確保

・高度なスキルに依存しない

3D造形技術を用いることのメリット

コスト

3D造形を用いることの主要なメリットはコスト削減にあります。高価なマシンニングコストを省くことができる点で、節約につながります。固定具やグリップを製造するためには典型的にCNCの高度なスキルを持ったオペレーターへ依頼する必要がり、納品までに何日もかかります。

3Dプリントの場合、完成したCAD設計を最寄りのプリンターに電子的に送信し、人間による操作をほとんど必要としないマシンで迅速に分析および成形されます。

3D造形技術により製作された冶具やグリップは従来よりもはるかに安価な素材を使用できるために更にコストダウンにつながります。


スピード

冶具、固定具およびグリップを3D造形する場合、製造スピードも大きなメリットとなります。複雑な金属形状の加工は、緻密なプランニングと高度に熟練したCAM設計者と機械操作を要します。その為、CNC加工ではパーツが完成するまでに何週間もかかることがあります。ある有名自動車メーカーでは右の写真にあるアルミ製の組立工具を3D造形に置き換えることで、リードタイムを18日から1.5日間と、92%削減することに成功しています。


素材

3D造形では幅広い素材と技術の中から見合ったものを選択できます。耐薬品性、難燃性、耐熱性、UV安定性などのエンジニアリング材料特性も現在、3Dプリント業界で広く利用されています。成果物は多数の色や表面仕上げで生産するこが可能で、3D造形に使用される高分子材料は従来の金属製の固定具と比較して、ハンドリングおよび組立中に、グリップまたは固定具と接触するパーツの損傷を軽減することができることも意味します。


重量

固定具やグリップは作業者によって定期的に操作されます。3D造形に使用される材料の大半はアルミニウムよりも軽く、作業者の負担を軽減し、安全性を向上させることに繋がります。素材そのものの重量だけでなく、産業用の3D造形ではソルッドではなくある程度の充填率で内部を成形していくため、部品の重量をさらに削減することができます。


設計の反復

3D造形では部品を成形するスピードがとても速い為、数回の繰り返しを通してデザインを最適化するための余裕を設計者に持たせることができます。 3D造形では複雑な人間工学的なデザインも容易に作成できるため、作業者がツールを扱うときの快適性を向上することもできます。


高い精度

3D造形技術では高精度な成形が可能なものがあります(産業用FDM ±0.2mm、SLA ±0.05mm、SLS ±0.1mm)。 SLAおよびSLSは、複雑なディテールだけでなく、スナップフィットやインターロックなどの機能的な接続部分も成形できます。

“車両にメーカーバッジを正確に配置するための3D造形アセンブリツール(Stratasysの画像提供)”

一般的な応用例とソリューション

応用例

ベンチトップ アセンブリ冶具

必要条件

・部品ジオメトリに合わせた高レベルのカスタマイズ
・簡単にベンチに固定できること
・人間工学に基づいた設計
・電子機器の統合
・部品に損傷を与えない耐摩耗性材料

ソリューション

産業用FDM3D造形では大きなビルドサイズで様々な工学材料(ナロンやPEEKを含む)を使用することができます。 従来の製造方法に比べて非常に費用効果が高く、3D造形技術の中でもスピードの早い手法の1つです。


自動ロボットアームグリップ

・部品のジオメトリと正確に一致する高い精度
・耐薬品性および耐摩耗性材料
・互換性があり交換が簡単なこと

SLS3D造形では焼結したナイロンから高精度(±0.1mm)で耐摩耗性および耐薬品性の部品を生産し、サポートを必要とせず、設計上の制約もほとんどありません。


手持ちの組立て装置

・軽量で堅い素材
・複雑な有機形状による人間工学的設計
・ブラケットを取り付けるためのネジ付きインサートまたは穴
・正確な部品配置

産業用FDM3D造形では大型かつ軽量な部品を生産することができます。 ねじ穴を作ることができるので、部パーツ同士を組み立てることができます。


座標測定機(CMM)検査装置

・測定中の正確な位置決めのためパーツと厳格に接続できること
・正確なプロトタイプテストのため迅速に構築できること
・高度なカスタマイズ
・設計変更に合わせるための迅速な設計反復
・接触時のマーキングやスクラッチなし

SLA3D造形による成果物は光硬化樹脂を使用して製造され、高度なディテールと精度(±0.05 mm)を可能にします。それぞれの用途に適した特性を持つ幅広いエンジニアリング樹脂があります。SLAのビルドボリューム(造形寸法)は通常、産業用のFDMやSLSよりもはるかに小さいものですが、接続部のアタッチメント部分にSLAのパーツを活用することができます。


クリアランスゲージ

・高精度
・耐薬品性および耐摩耗性材料
・メンテナンスと交換が簡単

SLA3D造形がクリアランスとフィット感が重要となる細かいディテールに最適です。


カスタムパーツのストレージ

・精度は低くても良い
・高度なカスタマイズ
・ツールの取り外しと配置が簡単なこと
・大きいサイズ
・カラーコーディング

産業用FDM3D造形では大きなビルドサイズと良好な寸法精度(±0.2 mm)を得ることができます。 簡単に設計・成形ができ、様々な色が使えるのでツールの識別に役立ちます。

ケーススタディ:ディクソンバルブのロボティクグリップ

米国メリーランド州のディクソン・バルブの米国製造工場は数千もの異なるバルブや継手、ゲージを取り扱っています。

各製品ラインで特定の部品を効率的にホールドするための工具やグリップなどのカスタム機材が必要となります。コスト削減と時間短縮の為ディクソン・バルブ社ではパーツ移動の為生産ラインセルでロボットアームを使用しています。

ライン上で使用される各ロボットアームの端部に取り付けられたカスタムグリップは、高い強度だけでなく、作業者とっての安全性、作業環境における耐薬品性、さらに繰り返しの使用に耐えられる耐摩耗性を必要とします。

従来の製造技術と3D造形による成形を比較考慮した後、各ロボットアームの端部に取り付けるグリップを一式設計し、炭素繊維の混合されたナイロン素材をMarkforged3Dプリンタで成形し取り付けました。

時間とコストの削減に関するサマリーは以下通り:

“自動ロボットアームで使用されるカスタムグリップ
(Markforgedの画像提供)”

コスト

時間


CNCマシンニング

$290.35

72時間+送料


Markforgedでの3D造形

$9.06 (-97%)

9時間20分(-87%)