日本初となる3Dプリンター複合サポートセンター発足に合わせ、日本市場に関して思うこと

日本初となる3Dプリンター複合サポートセンター発足に合わせ、日本市場に関して思うこと

日本市場はどこへ

Mark TwoやCubicon、Raise3Dの様に今後更に用途に特化したハードウェアが参入してくることが予想される3Dプリンター市場だが、日本国内での購買数の伸び率は海外と比べると低迷気味なのが現状だ。

買い控えの一番大きな理由にはハイプサイクルがあるが、その内容としては2010年以降どっと流出してきた海外製品に対する日本国内でのサポートや修理が不十分だったためにユーザーがトラウマのような経験をし、3Dプリント技術全般に対して不信感を覚えてるというようなことだ。

単純にハイプサイクルが原因だろうか。
日本の3Dプリント市場が伸び悩む背景には言葉の壁や経営方針、さらには文化の違いといった海外メーカーと日本代理店の間の大きなギャップがあることが否定できないのではないか。

ガートナー社のハイプサイクルは3Dプリント技術にも当てはまる。今が丁度底辺だろうか。
ガートナー社のハイプサイクルは3Dプリント技術にも当てはまる。今が丁度底辺だろうか。

メーカー保証に対する考え方の違いと等価交換について

例えば「メーカー保証」という考えについて考察してみよう。
海外では「パーツは無償で提供するけど、修理は自分でやってね。」というのがメーカー保証の意味で、日本の「売った方が全て責任を取れ」という関係とは全く異る。

特にDIY(do it yourself 自分でやる)の文化精神が強いアメリカと比較すると、3Dプリンターの修理もメーカーと直接話したり、パーツをもらったら自分で調べて何とかするというのが普通だ。マシンに関するユーザーフォーラムでは裏ワザの披露や質問、議論が絶えず活発的に交換されている。

英語で読み書きができないと一般公開されている情報も自由に取得することができず、フォーラムなどを運営するマシンも結局はその魅力を発揮できない。

Lultsbotは世界最大級のユーザーフォーラムを持つ3Dプリンターブランドだ。
Lultsbotは世界最大級のユーザーフォーラムを持つ3Dプリンターブランドだ。

海外製品を日本のメーカー保証基準に合わせて販売するためには、代理店が努力してその価値を負荷しなければならない。そこまでには様々なハードルが立ちふさがる。そもそも日本人の保証に対する考え方をメーカーが理解しないことも非常によくあるし、多くの代理店にアプローチしたいメーカーなら、販売の質など気にせず数だけ売りたいこともある。

年間500台以上が新規参入する3Dプリンター市場ではほとんどのメーカーがベンチャーやスタートアップで、大手企業が牛耳る日本のようなスローテンポな物流取引に魅力を感じず、そもそも参入を真剣に考えていない企業も多い。

3Dプリンターの第一言語は英語だ。言葉の障壁が高く自由に情報を取得できない日本市場では国内での正規修理・メンテナンスの有無が将来も大きな価値として認識され続けるだろう。

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その結果として当然、お金と価値を「等価交換」する売買では海外で設定されている価格よりも値上がりをせざるを得ない。

保証内容だけでなくユーザーマニュアルも日本語に特別に書き下ろさなければならないし、おそらく拡販の為のマーケティングも実費でエキスポなどに参加せざるを得ないだろう。

マシンが高かろうが、安かろうが特殊な産業用3Dプリンターを除き”日本人対応”に掛かるコストは余り変わらない。日本人の人件費は安くないし、そこまでの労力を掛けてペイできる、もしくはユーザーが良しとする価格帯を維持できるマシンは限られてくる。

そう。10万以下のような3Dプリンターの売買際して代理店が全て責任を負うようなことは理に適わないのだ。Trinusのようにスケールする場合は話が別だが、月数台の販売数で日本基準の保証を付帯しようものなら10万のものが倍の価格になってしまうだろう。

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Trinus

スケールする商品は低価格でもきちんとした保証を付帯することができる。

大卸と卸、そして代理店から代理店へ

「海外より高額でも日本国内で正規サポートが受けられない3Dプリンターもあるではないか。」
と思う方がいらっしゃるだろう。
日本特有の物流の流れが価格吊り上げに絡んでおり、日本の大手商社は市場の中でまあまあ良く安い製品をピックアップし、独占契約を迫る。競合の参入を排除し安心してお抱えの流通網へ商品を流すが、エンドユーザーへものが到着するまでには何社もの代理店が間に入るので価格は当初の3倍に。

これが日本の3Dプリント市場の成長を妨げている原因の一つでもあり、また、多くの代理店は3Dプリンターを扱うのが初めてだったりと販売する商品に関する知識が少ないのも販売後のトラブルを招く原因だろう。

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Makerbot Replicator 2

製造中止になったMakerbotシリーズは今も日本のエキスポではいたるところで目にする

よりローカルに、バーティカルに統合が進む

3Dプリント技術の醍醐味は物流連鎖の凝縮と人間の頭と手では不可能な構造を実現することにあると思っている。
3Dプリントを利用することで

デザイン・設計、試作、決定、生産(将来的には量産も可能に)、販売

まで全てがローカルに、ローコストで可能になる。

町工場で設計から販売まで縦型統合をした企業が可能になれば、日本の田舎でさえ一気に活気づくかもしれない。
砂漠や惑星でその土地の資源を利用する3Dプリンターを組み立てれば、資源供給にロケットを何度も飛ばす必要なく無人で住居が建築できるかもしれない。

プロトタイプからジュエリー、芸術、建築、製造、自動車、航空、宇宙、医療、全てのものを作る人に3Dプリント技術の利点を知ってもらい、利用してもらいたい。

経済全体を動かすような大きな可能性を持つ技術だからこそ、将来のためにも日本はトップレベルで導入・研究を進めて欲しい。

ただ、今のままの物流体制や言葉の壁があるとその将来も危ういように思われる。

Markus Kayser - Solar Sinter Project

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Markus Kayser - Solar Sinter Project

砂漠の砂と太陽光を使って造形をする試み。宇宙での無人建築に繋がる鍵だ。

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