Author - Alex

ファブラボに適した3Dプリンター(その1)

ファブラボ鎌倉やファブラボ渋谷の成功によって、新しいファブラボ/メーカースペース/シェアオフィス/ミニ工場といった類の施設が、日本中で毎日のようにオープンしています。彼らからの要望で最も多いのは「うちのファブラボに3Dプリンターを一台推薦してほしい」というものです。そこで今回は、実際のプリンターを一覧し、いくつかの質問を通じてファブラボに適した機種を考えてみたいと思います。 1.3Dプリンター選択のための質問  私が作った3Dプリンターガイドブックに既に書いてありますが、まずはあなたが3Dプリンターに望むことをリストアップすることから始めましょう。その時に、ぼんやりした要望を避け、できるだけ具体的に挙げましょう。「早い」「高品質」「高信頼性」「安い」は悪くないのですが、次のような形で書き留めるべきです。  ・ファブラボの利用者は誰?  ・スタッフは誰?  ・臭いがしても大丈夫?  ・騒音はどこまで許される?  ・どれくらい大きなものが作れる?  ・3Dプリントしたい材料の種類は?  ・購入の予算は?  ・一日当たり期待できる使用者数は?  ・消耗品費用は誰が払う? 2.3Dプリンター質問への回答例  私の実際のクライアントと良くあるシナリオをミックスしたファブラボの例を創造し、その場合の前記質問への回答は次のようになります。  ・ファブラボの利用者は誰? →建築家とデザイナー  ・スタッフは誰? →ほとんどがパートタイマーで平均的な時給  ・臭いがしても大丈夫? →No  ・騒音は許される? →Yes  ・どれくらい大きなものが作れる? →10 cm x 10 cm x 10cm  ・3Dプリントしたい材料の種類は? →ABS, PLA, 木  ・購入の予算は? →90万円  ・一日当たりの予想使用者数は? →10人  ・消耗品費用は誰が払う? →利用者がファブラボ内で購入  最初の質問は一般に『私のクライアントは誰』ですが、それはこの質問への答が通常、どんな素材が必要か、とか『どれくらいの寸法まで作りたいか』に大きく関与するからです。  私のファブラボの例は有名な建築系大学の隣にあり、その学生をターゲットにしようとしています。従って、どのようなプラスチック製品でも良いのですが、初めに聞いたところでは、多くの学生が木材に似た素材を使いたいということでした。また、造形物がしばしば10cm×10cm×10cmを越えることも分かりました。そして建物は縦方向に長いことが多いために、高さ方向の寸法がより重要であると考えました。  においと換気も考慮する必要があります。ほとんどすべてのプラスチックはわずかなにおいを持ち、中には少し有毒なものもあります。私はファブラボの中でモチとあんこを提供しようとしており、十分な換気能力がないため、匂ってほしくないのです。私達はABSを使う予定なので、カバー付きで適度に換気された3Dプリンターが必要です。   私のスタッフの大半がパートタイムの労働者を想定しており、それでも高い生産性を上げるためには、3Dプリンターの使い勝手が非常に重要です。いくつかの3Dプリンターはひとつの誤作業でも問題を発生します。作業テーブル自動調整やフィラメントタイプ毎の温度設定などの機能は、数時間使用経験だけの利用者のためには非常に役立つでしょう。  ファブラボの3Dプリンター予算を決める時は、何人の利用者がどんな価格体系で使うかを考える必要があります。人気のあるファブラボでは、3Dプリンターが1日で15回も利用されるかもしれません。一般に、ファブラボの3Dプリンターの最も大きい制約の1つは時間です。私のユーザーの1人がよく作っている5×5×15cmの3D製作物は5~15時間もかかります。3Dプリント渋滞はファブラボにおけるフラストレーションの最も一般的な原因の1つであり、あなたの予算に応じて前もって計画しておく以外に良い解決策がありません。ほとんどすべてのケースで、ファブラボの3Dプリンター数は予定の二倍を用意し、機能リストを減らすのが良いでしょう。私のケース例で当初予算は900000円であり、それは1日ユーザーあたり100000円より少し少ないものです。  ほとんどのケースで、ハードウェア予算の最も重要な部分は、3Dプリントのランニングコストとサービス契約料でしょう。つまり信頼できる3Dプリンターを買う方がずっと安いことになります。あなたは3Dプリンターメーカーのためだけに150000円の追加部品代を払うことになるかもしれません。一方、より信頼できる3Dプリンターを買えば、もっと安く済んだかもしれないのです。  また、騒音も考慮しましょう。典型的な3Dプリンターは、約40dBから60dBの騒音を出します。私のファブラボのケースでは他の設備も稼働していてうるさいため、3Dプリンターの騒音は問題になりませんが、図書館などのより敏感な場所で造形している時はそれを考慮する必要があります。  この続きは、次回、ファブラボに適した3Dプリンター(その2)で解説します。